<J2:山形3-2神戸>◇第29節◇18日◇NDスタ

 山形がホームで神戸に逆転勝ちし、後半戦初となる8試合ぶりの勝ち点3をつかんだ。0-1の後半7分、CKからFW林陵平(26)が頭で決めて追いつくと、21分に今日19日が誕生日のMFロメロ・フランク(26)のミドルシュートで勝ち越し。2-2とされた38分には、左手首を骨折しながら強行出場したFW中島裕希(29)が決勝点を挙げた。

 苦しかった。長かった。勝利を告げるホイッスルが響き渡ると、選手たちは拳を突き上げ、抱き合って喜びを爆発させた。前節から先発5人を入れ替えて攻撃的布陣で臨んだ結果、後半戦8試合で1点も取れていなかった後半に3ゴール。左手首をサポーターで固定し、痛み止めを飲んで後半40分まで走り続けた中島は「転ぶのは避けたけど、やってる時は痛みはなかった。久々に逆転ゴールを決められてよかった」。仙台時代も右手指を骨折しながら出場した経験のある不屈の男は、殊勲のゴールを決めるとサポーター席に向かって喜びを分かち合った。

 勝つために、守りの安定より攻撃力の復活に賭けた。先制しても2点目が奪えす、ここ3試合連続ドロー。奥野監督は「積極的に攻撃を仕掛けてパワーを与えてくれる」と得点を量産していた時に先発だった山田、中村太を両サイドバックに起用。狙い通りにサイドを崩し、同点弾は右、逆転は左から生まれた。2位神戸を相手に試合をひっくり返し、約2カ月ぶりに奪った勝利の持つ意味は大きい。【鹿野雄太】