来年14年度のサッカー天皇杯決勝の会場が、味の素スタジアム(東京)日産スタジアム(横浜)長居スタジアム(大阪)の3会場に絞られたことが8日、分かった。決勝は67年から国立競技場で行われてきたが、来年7月に改修工事に入るため、完工予定の19年までは開催できなくなった。日本協会は今春から決勝会場探しに入り、ヒアリングなどをへて、この3会場を最終候補とした。14日の理事会で正式決定する。

 決勝の舞台は、3会場に絞られた。日本協会は、今春から来年度の天皇杯決勝(14年12月13日)会場の募集を始めた。当時、大仁邦弥会長は「東京にこだわらず、地方でも態勢が整えば、可能性はある」と話し、全国から多くのスタジアムと自治体が興味を示した。結局、9月末までに味スタ、日産ス、長居の3会場が申請資格を整えて書類を提出。日本協会は10月までに、3会場と自治体のヒアリングを終えた。

 日本協会関係者は「それぞれの会場と自治体の準備もあるので、なるべく早く結論を出した方がいい。今度の理事会(14日)で最終決定して、各会場にお伝えする予定」と話した。

 これまで、天皇杯決勝は多くの関心が寄せられた。国立の元日決戦だったため、明治神宮の参拝客などが多く押し寄せ、5万人の客席は常に埋まっていた。しかし来年は、会場が変わり、開催日も12月13日(予備日は同23日)に変更されたため、対戦カードによっては、多くの観客を見込めない可能性もある。

 日本協会としては「観客が3万人程度なら、7万人のスタジアム(日産ス)は広すぎるし、人気のあるチーム同士の対戦なら、4万人台(味スタ)では小さい。東北や関東チームの対決を大阪(長居)で開くのも少し違和感はある。そのすべてをシミュレーションしているし、最も適している会場になると思います」という。

 来年はW杯イヤーで、サッカーの注目度は高まるはず。日本協会は、その人気を日本代表から国内サッカーにつなげたい意向が強い。そのため、決勝会場の選択は、慎重に協議されているようだ。

 ◆天皇杯決勝の開催地

 1921年度の第1回大会決勝は日比谷公園グラウンドで開催。その後、明治神宮競技場、早大東伏見運動場、藤枝東高、国泰寺高、西京極競技場、駒沢陸上競技場などを使用。1967年度の第47回大会から、現在行われている2013年度の第93回大会までは全て国立競技場開催となっている。

 ◆天皇杯全日本サッカー選手権大会

 1921年度の大日本蹴球協会(現日本サッカー協会)の設立を機に、ア式蹴球全国優勝競技会として第1回大会が開催。戦後の46年度の第26回大会で復興全日本蹴球選手権大会、49年の第29回大会から全日本サッカー選手権大会、51年度の第31回大会から天皇杯が全日本選手権優勝チームに贈呈されるようになり、大会名も現在の天皇杯全日本サッカー選手権大会となった。72年度の第52回大会からはオープン化。96年度の第76回大会からは高校生年代の出場も可能になった。最多優勝回数は全慶応の8回。