財前マジックでプレーオフを呼び込む!

 J2札幌は今日24日、札幌ドームで北九州と対戦。勝てば、ほぼJ1昇格PO進出が決まる最後の大一番だ。今季20勝のうち、財前恵一監督(45)が初先発や、途中交代で起用した選手が勝利に直結する働きをしたケースが14度。開幕から全42戦で一切同じスタメンを組まず、常に布陣をアレンジしてきた。最終戦も指揮官の絶妙な人選と采配で、鮮やかに勝ち点3を奪う。

 財前監督の勝負勘で、クラブ初の4戦連続完封勝利でのプレーオフ進出を狙う。前節から負傷のDF趙に代わり櫛引、ビンに代わって荒野が先発に復帰。ベンチメンバーには、DF前が4カ月半ぶりに戻った。開幕から42戦、同じメンバーでの戦いはない。指揮官は「今、勝つために最もいい状態の18人を選んだ」と自信を持って説明した。

 J監督1年目ながら、絶妙な選手選択と交代起用で勝利を積み上げた。監督デビューの3月3日開幕千葉戦は、後半41分に途中起用した砂川が決勝点をアシスト。9月22日の長崎戦は、初先発のビンが決勝点を挙げた。ビン退場で10人になると、フェホを前線に投入し、DFの背後を狙いながら、先発1トップにいた内村をサイドハーフに移し、サイドハーフ荒野をボランチに下げて守備も固めた。絶妙なポジション変更で数的不利の中、1-0の勝利につなげた。

 新たに先発に入れた選手や、途中から出た選手が勝利に貢献したのが20勝中、7割の14勝。頼りにしているのはデータだけではない。「先発陣はコンディションで。交代は基本は流れを見て。拮抗(きっこう)しているときは体力がある選手とか、状況に応じて考えることにしている」。瞬時にひらめく財前コンピューターは、42通り目のベスト布陣をはじき出した。今季最も大事な1勝に向け、ベンチワークもフル稼働させ、勝ち点3につなげる。

 勝てばプレーオフが確実になる一戦。最終戦は全試合同時開始のため、当該チームの状況をベンチから逐一選手に伝えるが、基本方針はひとつ。引き分けでも可能性はあるが、あくまで勝利あるのみだ。「引き分け狙いで、松本や徳島がロスタイムに点を取って状況が変わるかもしれないからね。伝えることは伝えるが、勝ちが大前提」と的を1点に絞った。

 23日、札幌・宮の沢での全体練習後、ベンチ外となった選手の居残り練習を厳しい表情で見守った。「ここで勝ってJ1に行けるわけじゃないから。プレーオフで頑張ってもらう選手も必要。全員で戦うのがうちのスタイル」。ピッチに立っている選手だけが戦力ではない。4連勝はあくまで通過点。まずは勝ってステップを上がり、総力でJ1挑戦権を勝ち取る。【永野高輔】

 ◆J2最終節・昇格プレーオフ進出の行方

 7位の札幌は北九州戦の結果次第で5~9位の可能性があるが、勝てばPO圏の6位以内が確実な状況。8位松本が愛媛に勝つと勝ち点66で並ぶが、現在の得失点差は札幌11に対して松本がマイナス1のため、松本が上回る可能性は低く、札幌が有利といえる。順位は現在勝ち点65の5位千葉の結果次第で5位か6位に変動。札幌が△の場合は勝ち点64で、6位徳島●(勝ち点64)、8位松本△(同)以下なら得失点差でPOに進出する。