仙台DF上本大海(31)が、復活へ向け着実に前進している。12年11月に右膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大ケガを負い手術。昨年6月には練習試合に時間限定で出場するまで回復したが、痛みが再発して8月に再手術を受けた。今季はキャンプに同行してのリハビリを選び、アーノルド監督(50)のスタイルを学びながら再起を目指す。宮崎・延岡キャンプ中のチームは9日はオフ。今日10日から練習を再開する。

 リハビリ中の上本が、厳しい練習の合間に水分補給する仲間に笑顔で声をかける。キャンプの雰囲気が明るいのは、この男の存在があるからだ。

 上本

 わざと中を歩いてるんですよ(笑い)。雰囲気で(チーム状況が)わかるから。1年を棒に振って思ったのはサッカーの楽しさ。やってる姿を見ていると、うらやましいですね。

 昨年は手術直後でキャンプに同行しなかったが、今季はアーノルド監督が就任。外からでも新たな戦術を理解し、復帰後すぐチームに貢献するために鹿児島からの参加を選んだ。

 上本

 来ない案もあったけど、監督のやり方を見たかった。言葉の壁はあってもジェスチャーでわかるし、見てるだけでもいろんなことを感じられる。「こういう守備の仕方もあるんだな」と、1日1日が勉強です。

 はやる気持ちを抑えながらジョギングや筋トレに励む毎日。スパイクを履いていない状態でも、頭の中には青写真を描いている。

 上本

 自分に焦るなと言い聞かせてる。また同じことをやるかもしれないから。夏くらいにみんなが疲れたときに元気を与えたい。

 12年は抜群のスピードと統率力で堅守を支え、クラブ最高の2位に導いた。ピッチ内外で圧倒的な存在感を放つ背番号29は、復活への階段を1つずつ上っている。【鹿野雄太】