J1開幕戦の甲府-鹿島戦(3月1日、中銀スタ)が延期となる可能性が20日、浮上した。14日から15日にかけて降った大雪の影響が試合会場周辺にも色濃く残っており、Jリーグ幹部が今日21日に緊急で現地視察を行うことも決定。通常開催ができない場合に備え、延期または代替地開催も視野に検討に入った。開幕戦が延期となれば異例の事態と言える。

 大雪により甲府市内では観測史上最多の114センチの積雪があり、一時は山梨県全体が「孤立」する状況に陥っていた。JR中央線などがようやく復旧したものの、試合会場の中銀スタジアムは、まだ雪かきが行われていない。隣接した駐車場も除雪作業を行う自衛隊災害派遣部隊の駐屯地や除雪による雪置き場になっている。県内では、依然として残る孤立集落の解消が優先されており、スタジアムの雪かきまで手が回らない。

 Jリーグの中西大介競技・事業統括本部長は甲府から現状の報告が届いていることを明かした上で、「論理的に考えて通常開催、延期、そして代替地開催も検討している。明日(21日)、Jリーグとして視察に行き、現状をしっかり把握したい。いずれにしても、なるべく早く結論を出したいとは思います」と話した。

 ただでさえ、W杯イヤーのためJ1は夏場に約2カ月の中断期間を挟むなど、14年シーズンは過密日程を強いられている。延期となれば、日程調整が必要になる。また、代替地開催となった場合も会場の予約やチケットの取り扱いなどの対応に迫られる。

 Jリーグの降雪での中止、延期は13年4月21日の松本-東京V戦以来。この時は季節外れの雪が長野県内に降り、急きょ延期が決定した。中西本部長は「できれば普通に開催したい」と話した。予想外の大雪はスポーツ界にまで影響を及ぼした形だ。

 ◆Jリーグの中止や延期

 過去に台風、雷雨、強風、降雪などで中止、延期になった例はある。降雪での中止、延期は昨年4月21日のJ2松本-東京V戦のみ。00年4月9日のJ2札幌-浦和戦、同12日のナビスコ杯札幌-G大阪戦は有珠山の噴火の影響で中止、延期となっている。集中豪雨や雷雨で中断、再試合になったケースもあるが、09年9月12日のJ1鹿島-川崎F戦は集中豪雨で後半29分で中断。後日「再開試合」として残りの時間のみを実施した異例の決定もあった。