<J2:栃木2-1札幌>◇第11節◇3日◇栃木グ

 魔のゴールデンウイーク-。J2札幌は栃木に敗れた。0-1の前半32分に、FW石井謙伍(28)が同点ゴールを決めるも、同ロスタイムにFKを直接決められ、アウェーは5戦勝ちなし。大型連休中の連戦は4月26日の岡山戦から3戦1分け2敗、得点1、勝ち点わずか1と、痛恨の取りこぼし週間となってしまった。中2日で迎えるホーム熊本戦で、負の連鎖から脱出を図る。

 札幌が試練のときを迎えた。前半32分に石井のPKで1点は奪ったものの、流れからの得点は、4月20日群馬戦の前田のゴールから、296分なし。財前監督は、4月26日の岡山戦からの4連戦で最低でも2勝2分け、勝ち点8以上を掲げていたが、大きくつまずいた。「こういう結果になり申し訳ない」。主力の連戦疲れを考慮し、MFヘナンを初先発で起用するなど試行錯誤を繰り返すも、勝ち点3には届かなかった。

 エース内村が離脱した4月13日の大分戦以降、5戦でわずか2得点と、攻撃が停滞している。シュート数は今季ワーストタイの5本。初めて2戦連続先発出場したMF榊は、俊足を生かしゴール前に飛び出すも、無得点に終わり「パスが出てからでは遅い。自分から先に動きだせるようにならないと」と反省した。

 苦しみながらも少しずつ課題はクリアになってきてはいる。結果が出ないために、安全につなごうという意識が、かえって攻撃のテンポを悪くするという悪循環に陥っている。「パスを人に合わせてしまっている。DFとGKの間に出すなど、そのあたりを改善したい」と財前監督。危機回避で横や後ろへのパスが多い。ミスを恐れず、積極的に縦にボールを配球する意識が戻れば、昨季終盤のような勢いは戻る。

 さらにFW都倉は「気持ちは入っているし、後は理詰めの部分。くさびに入れてスペースができたら、誰がどう走るのか。ワンプレー、戦術の意味をあらためて自分を含め全員がしっかり理解することが大切」と言う。昨季築いたつなぐスタイルに、どうプラスアルファするのか。作業に具体性を持たせ、全員が同じ方向を向ければ状況は変わるはずだ。

 内村復帰は12日の愛媛戦以降にずれ込むことが濃厚。窮地は続くが、榊の速さ、ヘナンのドリブルは新たな武器になる。壁は越えてこそ強くなれる。新たな才能を適所に融合し、全員で考えることがJ1昇格への素地になる。【永野高輔】