<J1:仙台0-1鹿島>◇第25節◇23日◇ユアスタ

 仙台はホームで鹿島に敗れ、泥沼の5連敗となった。前半は相手の攻撃になすすべなく何度も決定的なピンチを招き、43分に4試合連続となる先制点を献上。1点を追う後半も攻撃が単調に終わり、今季12度目の無得点に終わった。

 金縛りにあったような前半の45分で勝負は決まった。鹿島の徹底したロングボール攻撃にDFラインの呼吸が合わずピンチの連続。ボールを奪っても判断が遅く、相手ゴールに迫る場面はなかった。同じ人数で戦っているとは思えないほどの散々な内容で、前半だけで被シュート12本。守備に奔走した石川直樹(29)は「戦う土俵に立っていなかった」と厳しい表情で振り返った。

 スコア以上に組織力の差を見せつけられた。鹿島は意図的に前線へ長いボールを入れ、敵陣から猛然とプレスをかけてきた。それでも攻撃の起点となる日本代表MF柴崎やMF小笠原を封じる動きはなく、裏に抜けてくる選手への対応も遅れた。上本は「ボールの取りどころがハッキリしていなかった。連動性も足りなかった」。DFラインを高く保つのか、下げて守るのか、迷いが生じたまま防戦一方の展開を招いた。

 低迷を象徴する場面があった。後半6分、相手の縦パスをGK関がエリア外に飛び出してクリアした直後だった。鹿島は全員が走ってスローインからの攻撃に向かったが、仙台の選手たちは歩いて自陣に戻った。根幹にあったはずの全員攻撃・全員守備や、攻守の切り替えの速さは見えなかった。古巣戦に先発で強行出場した野沢は「みんな言わなくてもわかると思うけど、見習わなきゃいけない部分が多い」とこぼした。

 出口の見えない5連敗で、降格圏内の16位は確実に迫ってきた。上本は「もう1度、どういうサッカーをやるか考え直さないといけない」と危機感を募らせた。残り9試合、1つでも多くの勝ち点を積み重ねるための努力をするしかない。【鹿野雄太】