<J1:G大阪1-1仙台>◇第31節◇2日◇万博

 仙台がアウェーでG大阪と戦い、土壇場で引き分けに持ち込んだ。後半開始直後にミスから先制点を許したが、試合終了間際に途中出場のFW柳沢敦(37)が左足で今季初ゴール。J1で得点を記録したシーズンを歴代単独1位の「17」に伸ばした。総力戦で勝ち点1を上積み、次節(22日、ユアスタ)で17位C大阪との残留をかけた大一番に臨む。

 ゴール奪取を託されてピッチに送り込まれた男たちが、窮地に追い込まれた仙台を救った。0-1の試合終了間際、後半38分から10試合ぶりに出場したFWハモンが相手に競り勝ってつないだボールに、待ちかまえていた柳沢が素早く反応。豪快に左足を振り抜き、値千金の同点ゴールを決めた。渡辺監督は「総力戦と言ってきた中で、途中出場の選手が得点に関われたのは大きい」とうなずいた。

 プロ18年で磨かれた戦術眼こそ、百戦錬磨のベテランの真骨頂だった。後半23分からピッチに立つと「たくさんのスペースを見つけることができたので、そこを突ければと思っていた」。瞬時に相手の隙を見つけ、細かい動きを繰り返しながらチャンスを待った。得点の場面もDFラインと中盤の間に落ちたこぼれ球を狙い、相手の背後から奪い取った。迷いなく最初の交代で柳沢を送り出した指揮官は「相手の間でボールを受けながら仕掛ける動きを忠実に表現してくれた。最後は能力とゴールへの執着心が表れた」と絶賛した。

 苦しんできたハモンも、短い出場時間で流れを変えた。185センチの高さを生かして勝ち点1を呼び込んだ助っ人は「久しぶりに試合に出られて、チームに貢献できたのがうれしい」と笑顔を見せた。日本の展開の速いサッカーに対応するため、自宅でJリーグの映像を見て研究する真面目な男が大きな刺激を与えた。

 残り3試合で降格圏の16位とは勝ち点2差。次節は17位C大阪との直接対決を迎える。柳沢は「とにかく次、みんなで力を合わせて戦いたい」。J1残留へ、全員で勝利が絶対条件の正念場に臨む。【鹿野雄太】