今年のサッカー界の漢字は山形の「山」だ!

 天皇杯決勝はきょう13日、横浜市の日産スタジアムで行われる。東北勢初のタイトル獲得を狙うJ2山形は、GK山岸範宏(36)を中心にリーグ6位からプレーオフを制してJ1復帰を決めた勢いで、再び山形旋風を起こす構えだ。

 今年の年男で午(うま)年の山形GK山岸が、今季サッカー納めの天皇杯ゴールを死守する。チームは12日、天童市の山形県総合運動公園で午前10時から約1時間半、セットプレーなどを最終確認し、横浜へと移動した。G大阪戦を翌日に控え、山岸は「強いのは分かっている。でも胸を借りるのではなく自分たちらしさを出し切り、守って勝ちたい」と完封勝利を狙う。

 山岸は6月下旬、12位と低迷する山形に招かれて期限付き移籍した。元日本代表GKは、おとなしい選手が多い中で、練習から大声でチームを鼓舞。時に汚れ役も覚悟しながら、感じたことを互いに要求し合う積極性を、後輩たちに求めてきた。移籍後はJ2第19節からプレーオフ(PO)2戦を含む26戦連続出場。PO準決勝の磐田戦では、右CKからJリーグ史上初のGKによるヘディングシュートを決め、決勝の千葉戦では好セーブを連発しての完封勝ち。名実ともに4季ぶりにJ1復帰するチームの立役者となった。

 今季16年ぶりにチーム復帰した石崎監督も、山岸の活躍を高く評価する。師走の風物詩「今年の漢字」が発表されたこの日、報道陣からの「今年の漢字一文字を挙げるとすれば?」の問いに対し、広島弁で「山岸の山、山崎(主将)の山、山形の山じゃよ」と返した。

 11月度のJ2リーグMVPに輝いた山岸は、PO決勝翌日の8日夜、選手やコーチ約25人を招いて食事会を開催した。感謝を込めて賞金20万円の一部を還元。山形市内でもつ鍋を囲み、「このメンバーでやれる最後の試合。あと一戦頑張ろう」と結束を誓い合った。

 チームは「山の神」を意味するモンテディオを冠にする。山の神の守護神・山岸は、激動のシーズンを締めくくるべく最後のヤマ場に向かう。【佐々木雄高】