総力戦でJ1を死守する。昨季J2の6位から昇格プレーオフを制した山形の新加入選手会見が17日、天童市内で行われた。強化ポイントに掲げた守備陣の充実とセンターラインの強化として、DF渡辺広大(28=仙台)とMFアルセウ(30=マリリア)の獲得に成功。全員が守備的ポジションの6人が、サポーター150人の前で抱負を語った。

 「しっかり守れなければ、J1では戦えない」。新たに山形に加わった6人の顔ぶれには、石崎監督の意図が明確に表れていた。天皇杯決勝のG大阪戦で前半4分に先制され、22分に追加点を許した教訓から「予算の中で(補強は)まず後ろ(守備)だった」。GK摂津をのぞくとDF登録が4人で、アルセウは守備的MF。攻撃的ポジションの選手は1人もいなかった。

 テーマは昨季からの継続と上積みだ。石崎監督は「システム?

 そりゃ3バックがやりやすいじゃろ」と明言した。手薄だったセンターバックには、ライバル仙台からJ1出場85試合の経験を持つ渡辺がやってきた。プロ11年目で新天地を選んだ男は「何クラブかオファーがあったけど、骨を埋める思いで山形に来た。開幕戦、仙台に絶対勝ちましょう」と拳を握った。

 指揮官が「サッカーはボランチだと思う」と語るチームの心臓部には、対人の強さが武器のアルセウが加わった。07年に石崎監督率いる柏でリーグ28試合に出場した新助っ人は「メッチャ、ガンバリマス」と日本語であいさつ。5年ぶりのJ復帰に「イシさんやディエゴもいるし、オファーがあってうれしかった。ボールを奪うこと、ロングシュートにはかなり自信がある」と笑顔を見せた。

 それぞれのプレースタイルを見ても、山形のサッカーを体現できる選手が集まった。会見では、全員が「一体感があって、ハードワークする印象」と口をそろえた。渡辺は「守備が堅いチームは勝てるし、上位に食い込める。J1残留はもちろん、仙台より上を目指す」と言った。今季のスローガンは「山形総力戦」に決定。全員で鉄壁の守備を構築し、昨季に続き旋風を巻き起こす。【鹿野雄太】