仙台は12日、第2次宮崎・延岡キャンプを打ち上げた。この日で3次にわたるキャンプの半分を消化、15日から最終・宮崎キャンプで総仕上げに入る。松本から今季加入したDF多々良敦斗(27)は、11日の練習試合では1本目のセンターバック(CB)で先発し猛アピール。自身初J1での定位置取りへ燃えている。

 食らい付いていく。多々良にとってJ1は未知の世界。キャンプでは誰より真摯(しんし)に練習に取り組む姿がある。昨季まで所属した松本では、センターバックでJ1昇格に貢献した。だが仙台では「1番下だと思っている。技術も体力もビリだし、上がるだけ。真っ白な状態で挑戦していきたい」と話す。

 J1の舞台で輝く姿を見せたい人がいる。松本で、ともにJ1を夢見て戦った元日本代表の故松田直樹さんだ。「全部の価値観を変えてくれた人。サッカーでも外でも基礎を作ってくれた。今の僕は全てあの人のおかげなんです」。34歳で亡くなるまで「毎日のように(昇格したいと)言っていた。『運もあるけど、なれないものじゃない』と教えてくれた」という。昇格という約束を果たした今は「J1で絶対にやらなきゃって思う」。熱い思いを秘め、仙台へ来た。

 松本時代、プロ2年目までテニスクラブの受付やクレープ店で働きながらプレーした苦労人。「サッカー以外の人と触れ合うことで見え方が変わった。応援してくれる人のために全力だった」。そして「プロになった頃のフレッシュな気持ちでもう1回、挑戦してみたい」。粘り強さを最大の武器に、献身的なプレーで仙台の勝利に貢献する。【成田光季】<多々良敦斗(たたら・あつと)アラカルト>

 ★経歴

 1987年(昭62)6月23日、静岡・静岡市生まれ。3歳からサッカーを始める。清水東高では日本代表内田篤人と同級。静岡産大を経て10年に松本入団。12年にJ2、14年にJ1昇格に貢献。

 ★プレースタイル

 粘り強い守備が売りのCB。

 ★性格

 人見知りで穏やかな性格。「話し掛けてもらえれば対応します」。戦国時代など日本史が好きで「城マニア」。好きな武将は徳川家康。

 ★家族

 夫人と1男。

 ★身長、体重、血液型

 180センチ、72キロ、A型。