2015-16シーズンのブンデスリーガも全日程が終了し、あとは入れ替え戦を残すのみとなった。


 19日にその第1戦が行われ、長谷部誠が所属する1部16位フランクフルトは2部3位のニュルンベルクとホームで対戦し、1-1の引き分けに終わった。この結果はフランクフルト側からすれば「痛恨のドロー」であり、23日に本拠地での第2戦を迎えるニュルンベルク側からすれば「上々の出来」である。


 ところで、3季ぶりのブンデスリーガ参戦を目指す後者を応援しているのは、どうやらニュルンベルクのファンや関係者だけではないようだ。


 同クラブの右SBミショ・ブレチュコは、大迫勇也が所属するケルンで主将も務めるなど7シーズンにわたってプレーしていたが、出場機会を求めて昨夏ニュルンベルクへ移籍。そのためケルンのペーター・シュテーガー監督は「個人的にはミショ(ブレチュコ)が昇格を達成してくれると信じたい」と、かつての愛弟子にエールを送っている。ただし大衆紙「ビルト」によれば、ケルンの面々がニュルンベルクの昇格を願う理由は、それだけではないという。


 ブレチュコは50万ユーロ(約6100万円)という破格の値段でケルンからニュルンベルクへ加入したが、その際に両クラブは「ブレチュコの移籍1年目にニュルンベルクが昇格を決めれば、ニュルンベルクは追加で20万ユーロ(約2400万円)を支払う」という特約を契約書に盛り込んでいた。


 しかし、これはあくまでオマケ程度。ケルンが受けられる最大の恩恵は、TVの放映権料だ。


 ブンデスリーガにおけるTV放映権料の分配は、過去5シーズンの成績によって点数化され、上の順位ほどお金が多くもらえる仕組みになっている。ニュルンベルクはここ2シーズン、ブンデスリーガ2部に所属していたため合計ポイントはケルンよりも少なく、そしてフランクフルトのポイントはケルンよりも多い。


 しかし規則では、どんなに多くの点数を稼いでいようとも、2部所属というだけで、1部所属クラブより放映権料が少なくなってしまう。したがってフランクフルトが2部へ降格すれば、分配金リストにおけるケルンの順位も自動的に浮上し、同クラブにとっては来季130万ユーロ(約1億6000万円)の増収になるという。


 ケルンが計150万ユーロ(約1億8400万円)という決して安くはない金額を手にすることができるかどうか、すべては23日の第2戦にかかっている。