国際サッカー連盟(FIFA)をめぐる金銭問題が、また発覚した。2010年W杯欧州予選プレーオフで、フランスの選手が決勝点の直前に反則していたことに対し、FIFAが法的措置回避のため、相手のアイルランド協会(FAI)に約6億円を払っていた。

 FIFAはあくまで貸付金だと主張するが、14年W杯予選を勝ち抜けば返済の予定だったという条件には不自然さが否めない。頂点の組織が自ら競技の価値をおとしめた行為に、前FIFA副会長のボイス氏は英PA通信に「こんなにばかげた話は聞いたことがない」と憤慨した。

 FIFAは18、22年W杯の米国での放送権を持つテレビ局FOXに26年大会の権利も与えた。カタールでの22年大会を、米国でスポーツイベントが多く行われる11、12月の開催に変更した代償とみられている。不都合が発生すれば裏で取引し、利益供与で解決するという発想の根本は同じだ。

 FAIの罪も重い。表では「金の問題ではない。スポーツの尊厳の問題だ」として再戦を求め、特別枠でのW杯出場まで訴えながら、実際は多額の金を受け取っていた。

 FIFAの「金権体質」は、サッカー界全体を根深くむしばんでいる。今後も同様の事例が発覚する可能性もある。