東京からオランダ1部フィテッセに移籍したDF太田宏介(28)が上々の滑り出しをみせた。アウェーのカンブール戦で新天地デビュー。左サイドバックとしてフル出場し、2-0の勝利に貢献した。正確な左足から何度も好機を生み出し、いきなりファンの心をわしづかみだ。

 太田がオランダ初戦で躍動した。敵地スタジアムが人工芝だと知らず、持っていたのは天然芝用のスパイクのみ。相手の特徴もビデオを見ただけで、十分に把握していなかった。気温は凍えるような1・6度。そんな状況でも新たな環境を楽しんだ。

 「雰囲気? 良いですね。何言ってるかぜんぜん分からないですけれど、相手サポーターから『スシ、スシ』と言われていたのは聞こえてました(笑い)」。セットプレーのキッカーを任され、前半23分、後半24分と自慢の左足でFKを味方に合わせて好機を演出。チームの2点目は、太田から中央へ出したパスから攻撃が始まり、生まれたものだった。

 「今季のオランダ1部で最高のサッカーをする」と高い評価を受けるフィテッセだが、左サイドバックは弱点だった。試合後、チーム公式サイトへのファンによる書き込みには「本当の補強。テクニカル・ディレクターは太田をよく獲得してくれた」「素晴らしい左足のクロス、パスだ」などと絶賛の声が並んだ。

 太田は試合後、「未知の領域でしたけど、とにかく勝てたことが何より」と勝利を喜び、「実戦からかなり離れていたんで心配でしたけど90分走れたのはよかった」と満足感を口にした。次戦は23日にアウェーで強豪アヤックスと戦う。「良い準備をしたい。自分が思っている以上に(今日は)疲れていると思うので、しっかりリカバリーしたい」と意気込んだ。

 ◆太田宏介(おおた・こうすけ)1987年(昭62)7月23日、東京・町田市生まれ。麻布大渕野辺高(神奈川)2、3年時に全国選手権に出場。06年にJ2横浜FCに加入し、清水を経て12年から東京でプレー。昨年12月にフィテッセへの完全移籍が発表された。07年にU-20W杯カナダ大会に出場し16強入りに貢献。A代表では7試合に出場。179センチ、78キロ。