ウッチースマイルが戻ってきた。ドイツ1部シャルケの元日本代表内田篤人(28)が21日、冬季中断期間を利用し、成田空港に帰国した。8日の欧州リーグで右膝の故障から1年9カ月ぶりに公式戦復帰。リハビリ中に一時は自己嫌悪に陥ったが、回復を信じた結果、光が差し込んだ。MF香川の「アモーレ探し」に立候補するなど明るさを取り戻し、来年に向け「生き急ぐつもりで」と完全復活への覚悟を示した。

 笑顔だ。笑顔で日本に帰ってきた。5月の日本代表合宿で「リハビリで暗い顔してたら死んじゃう」と無理やり明るさを保った内田とは違う。8日の欧州リーグ・ザルツブルク戦で実に1年9カ月ぶりの復帰。「10分だけど、やれた。あっという間だった」。休暇期間中も「さぼったら全部自分に返ってくる」と無休で膝を中心にしたトレーニングに励むという。まだ、紅白戦には加わっておらず「まずフルメニューをこなせること。自分の体をちゃんとつくれば、頭からいけると思っている」と、来年の先発復帰を思い描いた。

 昨年6月の右膝膝蓋腱(しつがいけん)手術後、1年経ても回復の兆しが見えず「手術の決断が間違っていたのか」と悩み続けた。「自分でも嫌な人間だったと思う」とどん底に追い込まれた。トレーナーと二人三脚のリハビリに1日ずつ取り組むことで、光が見えてきた。「一番脂の乗った時期を捨てたというのはすごく心残り」。率直に吐露すると、残りのサッカー人生にかける覚悟もみせた。

 「死に急ぐとか生き急ぐという感じかもしれない。とことんやる。細く長くは考えてない」

 休暇中、3日連続で4組の結婚式に出席するという。MF長谷部はモデル佐藤ありさと結婚し、DF長友は女優平愛梨と結婚秒読みだ。昨年5月に幼なじみの女性と結婚した内田は「乗り遅れてなくて良かったわ、香川さんみたいに」と独身の香川をいじり、「(香川)真司のアモーレでも探しますか」と恋のキューピッドに立候補する余裕も見せた。だが、すぐさま「真司のアモーレだけとらないでよ」と報道陣へ注文。周囲を温かい気持ちにする笑顔のウッチーが戻っていた。【岩田千代巳】

<内田の復帰までの道程>

 15年4月 シャルケが右膝不調で離脱を発表。

 6月 日本で右膝膝蓋腱の手術を受ける。

 7月20日 つえを使わず自力で歩き渡欧。復帰時期に「4~6カ月」と見通しを語る。

 11月 シャルケが年内練習復帰の可能性を伝える。

 16年1月 チーム練習に復帰。26日のブレーメン戦を観戦に訪れた内田は「もうちょっと時間はかかる。復帰メドは分からない」。

 2月 膝の検査のため帰国。

 3月 ブライテンライター監督が内田の今季中の復帰はない見通しを明かす。

 5月 帰国し日本代表のキリン杯事前合宿でリハビリ参加。

 7月 別メニューながらチームに合流。

 8月 膝の治療とリハビリのため一時帰国。

 10月 MRI検査を受け、クラブが患部に改善がみられると発表。

 11月 全体練習に合流。

 12月8日 欧州リーグ・ザルツブルク戦でピッチに復帰。