フランクフルトの長谷部誠(33)がアウェーのヘルタ戦にフル出場し、ブンデス通算234試合出場としてブレーメンなどで活躍した奥寺康彦の日本選手最多記録に並んだ。08年1月のウォルフスブルク加入から10シーズン目。0-2で敗れたが、キャプテンマークを巻いてチームを引っ張った。3月5日のフライブルク戦では新記録がかかる。ヘルタFW原口元気(25)もフル出場した。

 節目の一戦、長谷部がドイツで主将として先発するのは初めてだった。「日本代表でも長く(主将を)やっているし、特別な何かはなかった」。守備的MFで前半26分と後半31分には原口のドリブル突破を巧みに止め、攻撃では前半30分にヘディングシュートを放つなど、セットプレー時にはゴール前に顔を出した。後半途中で退場者を出し、敗色濃厚な中、手をたたいて仲間を鼓舞し続けた。

 試合後は出場記録よりも「チームの結果が一番なので」と悔しがった。そして、奥寺に並べたことに「30年以上前にこの素晴らしいリーグで、奥寺さんという素晴らしい選手がいたと、もう1度皆さんに知ってもらえる」。先駆者に敬意を表す言葉が長谷部らしかった。

 さまざまな監督の下、出場機会を積み重ねられた要因を「僕は点を決める選手じゃない。チームがより良い流れになるよう、常に頭を使いながらプレーしてきた」。技術だけでなく戦術理解度、リーダーシップを武器に偉大な先人に追いついた。(鈴木智貴通信員)