<スコットランドリーグ:セルティック1-0ダンディーU>◇22日◇ダンディー

 【ダンディー(英国)22日(日本時間23日)=アンソニー・マッカスカー通信員】セルティックMF中村俊輔(29)がリーグ3連覇の勢いのまま、日本代表に乗り込む。最終節ダンディーU戦に先発し、得点には絡まなかったが1-0の勝利に貢献。2位レンジャーズが敗れたため、05年の加入以降、無傷の3季連続優勝が決まった。中村は「まだ終わらない。4連勝するまでがおれのシーズン」と言い切り、6月のW杯3次予選残り4試合の全勝突破を宣言。24日に帰国し、25日にも岡田ジャパンに初合流する。

 試合終了の笛に、中村はベンチからゆっくりとした足取りでピッチに入った。仲間たちと握手を交わし、抱き合いながらしみじみと3度目の優勝を味わう。昨季は自らの劇的な優勝弾にユニホームを振り回し、サポーターの輪の中に飛び込んだ。1年前とは対照的な勝利の瞬間を迎えた裏には、もちろん最終戦を途中交代した悔しさもにじむ。ただ、それ以上に次なる戦い、日本代表への思いが自制を促した。

 中村

 W杯の予選は気持ちを切り替えるというより、そのままの流れで臨む。優勝で喜ぶ時間もないから寂しいけど、それは頭を切り替えてやるべきことを把握する。日本は気候も違えばグラウンドも硬いからね。日本人だからといって、日本に慣れているわけじゃない。シーズンはまだ終わらない。4連勝するまでが、おれのシーズンだから。

 3季目の今季は、左ひざ負傷で長期離脱も経験したが、言葉通り「ケガの功名」となった。疲れ切った体を休めるとともに、スタンドから試合を見ることで、ピッチを俯瞰(ふかん)する能力に磨きをかけた。戦列に復帰するや、チームはリーグ9戦を8勝1分けと快進撃。終盤の7連勝も、4月16日レンジャーズ戦での30メートルのミドル弾が弾みとなった。良くも悪くも、中村の出来が今季のチームを左右した。

 今季26試合で6得点。数字上では2年目の37試合9得点に及ばないが、中村は「ルーズボールやヘディング、スライディングとかね。それプラス、プレーの引き出しを増やせた」という。もともとドリブル、パスなど個人技には定評があるが、味方との連係含め、プレーの幅をつけることに成功したシーズンだった。

 クラブ史上3連覇は、9連覇した66~74年以来だ。05年の移籍加入後、第2期黄金期をクラブにもたらした。「あんまり年齢も関係ないしね。どんどん頭働かせて、意識して練習すればいろんな課題がまた出てくる」。今年30歳のベテランはさらなる進化を遂げた。3連覇という偉業を誇りに、今度は日本代表を勝利へと導く。