【アムステルダム(オランダ)8月31日=塩畑大輔】エスパニョールMF中村俊輔(31)が、上々のスペインデビューを果たし、日本代表に合流するため、オランダに到着した。30日のリーグ開幕戦ビルバオ戦にフル出場。チームが攻守に苦戦する中、ミスの少ないプレーを重ね、反撃の起点をつくり続けた。念願のスペインリーグでのプレーを満喫。試合は0-1で敗れたが、個人的には世界最高峰リーグで通用する手応えをつかんだ。

 スペインデビューから一夜明けたこの日、中村は明るい表情でオランダに向かった。当初はバルセロナの自宅にいったん戻る予定だったが、少しでも早く代表チームに合流したいと、ビルバオ戦後は現地に泊まり、翌朝にカジュアルな私服姿で出発。マドリード経由で、午後4時過ぎにはアムステルダムに到着した。

 早くもスペインでは上々の評価を受けた。この日の現地紙ムンド・デポルティーボは、中村についてチーム最高点の3(4点満点)を付け「普段どおりのプレーでリーガを楽しんだ」と評している。試合は負けているため、評価が辛くなりがちな中、個人の力を認めている。

 実際に試合後の中村も敗れた悔しさの中に、充実感をにじませていた。「スペインリーグでのプレーを楽しめた。もちろん勝ちたかったけど、すがすがしい気持ちというか、やっとここに立つことができたという感じ」と一息で言い切った。あこがれ続けたピッチでも、いつもの正確な技術をみせた。前半4分には前線を走るタムードにオフサイドぎりぎりであわせるスルーパスで、ビルバオ最終ラインを突いた。

 90分間のプレーで、攻撃を組み立てる中盤でのパスミスは、全34本中わずか3本。同成功率は91%に達した。ゴールの方に直接向かう、決定機を狙ったパスも、前半は7本中3本の成功。後半は本数自体も増え、同26分に続けて2本の右クロスが味方FWの頭をとらえるなど、計9本中5本が敵陣深くを脅かした。

 中村のプレーに、ポチェッティーノ監督は試合後に「敗戦はもちろん苦いものだが、ポジティブな面もある。中村、ベルドゥーの働きがそのひとつ」と話した。トップ下のMFイバン・アロンソも「中村らが中盤にいることで、チームのボールキープ率と展開力は上がった」と振り返った。

 日本代表のオランダ遠征を挟み、次節はいよいよ「新銀河系軍団」Rマドリードとの対戦となる。「今日の反省を生かすことが、次につながる」。早くも夢舞台を迎えるが、その前には強豪オランダ、ガーナをたたくという大仕事が待っている。

 [2009年9月1日8時55分

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