<欧州CL:インテル2-0バイエルン>◇決勝◇22日◇マドリード

 インテルがバイエルンを破り、64-65年シーズン以来、45季ぶり3度目の欧州王座をつかんだ。ジョゼ・モウリーニョ監督(47)は守備戦術を徹底させ、相手のエースMFアリエン・ロッベン(26)を完封。攻めてはカウンターのチャンスにFWディエゴ・ミリト(30)が2ゴールを決めた。イタリア杯、セリエAに続き、チームをイタリア史上初の3冠に導いた同監督は試合後、今季限りでの退団を明言。来季からRマドリードの監督に就任することが決定的となった。(春日洋平通信員)

 歓喜の抱擁を続ける選手の輪から離れたモウリーニョ監督は、スタンドを見つめて立ちつくした。こみ上げる涙をこらえるかのようだった。FCポルトを率いた04年に続く、2度目の優勝。フェイエノールトとハンブルガーSVのハッペル氏(故人)、ドルトムントとバイエルンのヒッツフェルト氏に続く、史上3人目の2クラブでの欧州制覇を達成した。

 相手のエースFWロッベンを完ぺきに封じた。ロッベンがボールを持つと、左SBキブと左ボランチのカンビアッソ、左ウイングのパンデフまで自陣に戻ってマークした。後半、キブに疲れが見えるや、右ボランチだった主将のサネッティを下げ、ロッベンに90分間自由を与えなかった。両ウイングを自陣に戻して8人で守り、カウンターで得点を重ねた。同監督は「私のやりたいことを正確にやってくれた」と選手たちをたたえた。

 97~00年にバルセロナで、相手のファンハール監督の通訳兼助監督を務めた。敵将は「(バルセロナの)会長が私に監督就任をオファーしたことを知った彼は、私の目の前で『そんな話は聞いていない』と会長に食ってかかった。自分が後任だと思っていたのだろう。彼の行動と発言力に特別なものを感じた」と振り返る。モウリーニョ監督の揺るぎない自信は、当時から変わっていない。

 試合後同監督は、今季限りでの退団をほのめかし、相思相愛のRマドリード監督就任に並々ならぬ意欲をみせた。「現在、私に興味を示しているのはレアルだけ。監督であろうと選手であろうと、1度はレアルで力を試さなければね。3つのクラブでの欧州制覇にチャレンジしたい」。この日の会場はレアルのホーム。これ以上のアピールはない。「もちろんリスクはあるが、それが私と他人の差。私には大きな志がある」。野望が尽きることはなかった。

 [2010年5月24日9時43分

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