サッカー日本代表で来季フランスリーグ3部のグルノーブルのMF松井大輔(30)が、来季から同リーグ1部に昇格するディジョンに移籍することが23日、決定的になった。グルノーブルとの契約は2012年まで残っているが、3部に降格したこともあり、移籍を強く希望していた。この日、女優加藤ローサ(26)との結婚と、12月に出産予定であることを発表。新シーズン開幕を家族同伴で迎えるとともに、新天地での活躍をサッカー人生の集大成にするつもりだ。

 松井が新しく得た家族とともに、サッカー人生の巻き返しに挑む。移籍が決定的となったディジョンは98年設立のチーム。今季、2部リーグで3位となり、新シーズンから創設以来初めて1部で戦うことが決まっている。同クラブは、松井の昨年のW杯南アフリカ大会での活躍や、04年から4年間在籍したルマン時代の経験なども高く評価し、獲得に乗り出していた。

 松井のもとには、欧州の複数クラブから獲得に向けた打診が届いているが、希望していたリーグ1部でのプレーが実現すること、獲得に向けた強い熱意を感じたことなどが決め手となり、移籍先を同クラブに絞り込んだようだ。フランスリーグ関係者によると「すでにグルノーブルとディジョンがクラブ間交渉に入っていると聞いている」という。早ければ今月中に移籍が決まる。

 新たな私生活のスタートも同時進行する。松井は03年に1度結婚したが、その後離婚。昨年秋から交際していた加藤ローサが26歳の誕生日を迎えた22日に婚姻届を提出した。2人は知人を介して知り合い、加藤がサッカー好きだったこともあって意気投合して交際に発展。フランスと日本の遠距離恋愛となったが、今月に入って京都市内にある松井の実家をそろって訪れる姿も目撃されるなど、順調な交際を続けていた。加藤は妊娠4カ月で12月に出産の予定。2人は松井の移籍が正式決定後に渡仏し、新生活をスタートさせる予定だ。

 松井にとっては試練を乗り越えての念願実現だ。09年に当時1部のグルノーブルに在籍したが、起用法などの違いに悩んだ。10年にロシアリーグのトム・トムスクにレンタル移籍したものの出場機会に恵まれなかった。移籍先を模索したが、グルノーブルが設定した高額な移籍金などがネックとなり実現しなかった。

 グルノーブルは04年にインデックス社に買い取られたが、経営状況は好転せず、毎年赤字を計上。今年になって選手への給与遅配が深刻化し、選手側がクラブ側に抗議する動きも出ている。フランスリーグが経営状況について本格的な調査に乗り出しており、同リーグ関係者は「存続は極めて困難な状況」という。松井の移籍も容認されることが確実な状況となった。

 昨年のW杯南アフリカ大会終了後は、負傷によるアジア杯離脱、所属クラブの3部降格などつらい時期が続いた。Jリーグ復帰を視野に入れた時期もあったが、サッカー人生を欧州でまっとうすることを決意。移籍先を探し続けた努力が実を結ぼうとしている。