今夏のACミラン移籍が極めて難しくなった日本代表MF本田圭佑(27=CSKAモスクワ)が、無言の帰国をした。今日2日から大阪府内で始まる日本代表合宿に参加するため、1日に関西空港着の航空機で到着。欧州の移籍市場は2日午後11時(日本時間3日早朝6時)に閉まるが、現地の報道によれば冬まで契約を残すCSKA側とミラン側の最終交渉が決裂したという。念願のビッグクラブ移籍は、冬に持ち越しになる。

 一時はACミラン入りが間近に迫っていた本田が、日本に戻ってきた。今夏の欧州の移籍市場は2日に閉まる。それを目前にしての帰国だった。関西空港にはテレビも含め約40人の報道陣が集まり、渦中の男を追った。居合わせた旅客やサポーターは100人を超えた。ごった返した空港ロビーに、ハット帽にサングラス姿の本田に似た人物が現れただけで騒然となった。

 その数十秒後-。本物の本田はベージュのジャケットにパンツ、胸には赤いハンカチーフをのぞかせて登場した。空港職員や警備員、事務所職員らにガードされ、いつものように大勢の報道陣の前では一切、口を開くことなく無言のまま移動用の車に乗り込んだ。

 ミラン移籍は秒読み段階だった。一時は綱引き状態に陥っていたクラブ間交渉が、8月29日にモナコで開かれた欧州チャンピオンズリーグ(CL)抽選会の席で両クラブ幹部の話し合いが再開。30日にかけて急展開した。現地の報道によれば、ミランのガッリアーニ副会長が決定に備え、モスクワからミラノへの自家用ジェットに予約を入れていたほどだったという。そこまで交渉が進展しながらも、最終的にCSKA側は「本田を(今冬の)契約満了までクラブに残す」という最終回答を出した。

 1日付のイタリア紙・ガゼッタ・デロ・スポルトは「合意を取り付けるところまであとひと息だったのに、CSKAは本田をミランに夏移籍させることを断った」と報道。さらに本田の心情を配慮し同紙は「本田自身はかなり怒っていることだろう。今後、本田は自分の意向に反してモスクワに残り、プレーしていくことになる」とまで記した。

 また、補強を急ぐミラン側は、Rマドリードのブラジル代表MFカカの獲得にも動いていた。ガッリアーニ副会長は、30日の時点で「今はカカより、本田の方が可能性がある」としていたが、本田獲得が難しくなったことで、急きょ1日にマドリードに飛んだと伝えられている。

 今夏時点で目標にするビッグクラブ移籍が事実上途絶えた本田は、今日2日から日本代表合宿に合流する。(波平千種通信員)

 ◆過去の本田の移籍破談

 昨年1月に同じセリエAのラツィオからオファーを受け、クラブ間交渉に発展した。今回のACミランと同様に、決定は秒読み段階だったものの、移籍金を巡ってCSKA側との交渉が難航。欧州の冬の移籍市場最終日となる1月31日までもつれ、ラツィオ側は移籍決定に備えて本田がリハビリで滞在していたバルセロナの空港にチャーター機まで用意。しかし結局は土壇場で破談になり、本田は本紙に「(破談は)屁(へ)でもない。もっと明るい未来が、俺には待っている」と語った。