【モスクワ(ロシア)20日=八反誠】日本代表MF本田圭佑(27=CSKAモスクワ)が、ゴールで自身が成長期を迎えていると証明していく。19日、モスクワ郊外の練習場で取材に応じ27歳の今が選手としての成長期と強調。夏の移籍期間に名門ACミラン移籍が実現せず、17日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)初戦も王者Bミュンヘンに0-3で大敗したが、W杯優勝を公言する男がモスクワで意外な手応えを語った。

 本田は常識には縛られない。27歳となり、日本代表の主力として揺るぎない地位を築いている。サッカー選手として脂の乗りきった時期を迎えている…。多くの人はそう思っているだろう。しかし当の本人の認識は違う。充実期、円熟期ではなく今が選手としての成長期だと言い切った。秋から冬へと急ぐモスクワ。敷き詰められた落ち葉に目をやりながら、しばしの沈黙。そして、ほんの少しうれしそうに口元を緩めこう言った。

 「自分でも少し驚いている部分があるんですけど…。この年になって昔よりも成長率、成長の仕方というものを自分自身で感じられている。今が、何となく成長してきた昔よりも、成長しているという実感ができている。1試合ずつ、毎日の練習でも、それを感じることがある」

 現在、日本代表では自己最長の国際Aマッチ3試合連続得点中。まわりを生かし、まわりに生かされながら量産モードに入った。うち2点はこれまでにないパターンのヘディングシュートだった。新境地を開拓しつつある。成長期、その証しはチームを勝利に導く得点だと強調した。

 「成長しているというのは自己満足ではいけない。数字面に表れてこないと意味がない。そこは今後の点を取る量で判断してもらえれば、一番分かりやすい。ここであまり『成長している』と言っても、結局は結果がすべて。自分の中で気を引き締めて成長を数字に残したい」

 欧州CL初戦のBミュンヘン戦は無得点に終わった。明日22日のリーグの大一番、スパルタク・モスクワとのダービーマッチは、是が非でもゴールがほしい。この冬のビッグクラブ移籍に向け「点を取る量」で成長期を実証し明るい未来を切り開く。冬に向かうモスクワの気候に逆らうような熱さ。周囲のだれより、CSKA残留を余儀なくされた本田が自身の成長を楽しみにしていた。