<セリエA:ACミラン1-0インテルミラノ>◇4日(日本時間5日未明)◇ミラノ・サンシーロ

 ACミランのMF本田圭佑(27)が、試練に立たされた。インテルミラノ戦は、システム変更の余波を受けてベンチ入りしながら出番なし。インテルDF長友佑都(27)とのミラノダービー初の日本人対決は幻に終わった。リーグは残り2戦。W杯を目前にして、出場機会が減る可能性も出てきた。

 歓喜に沸く仲間たちに、本田は背を向けた。終了の笛が響くと、1度は控室へ戻った。熱狂が静まるのを待って、再びピッチに出てくる。十数分前までは発煙筒がたかれ、興奮状態だったのがうそのように静まり返った会場で1人、黙々と走った。悔しさを振り払うように約30分。そうやって大量の汗を流すことしか、できなかった。試合終了から1時間。ようやく報道陣の前に現れた本田は、ひと言も話さずに姿を消した。

 7万人超の大観衆で埋まり、ミラノダービー初の日本人対決への期待が高まった。ミランは中盤をこれまでの5枚から4枚に削減。システム変更の余波で、本田は先発から漏れた。出番はいつか?

 しかし、後半31分。定位置を争うFWカカが交代する際に指名されたのは、本田ではなくFWパッツィーニ。最後まで呼ばれることはなかった。セードルフ監督は「システムを変えることで(本田を)犠牲にしなければならなかった」と説明。さらに残りのリーグ2戦で本田を起用するかを問われると「彼はこれまでずっと試合に出てきた」とはぐらかした。

 このままではミランの名誉ある「10番」に泥を塗ることになる。悪い流れは重なり、故障で長期離脱していたイタリア代表FWエルシャラウィーが、インテル戦からベンチ入り。次節アタランタ戦(11日)にも復帰する可能性があり、より一層、本田の立場が危うくなる。セードルフ監督は「このシステムはベルルスコーニ会長が気に入ると思う。このような戦い方は来季もしたい」。本田は窮地から抜け出すことができるのか-。W杯まで1カ月。このままでは、日本代表にも影響を及ぼしかねない。【益子浩一、波平千種通信員】