熱戦が続くアジア大会で、前代未聞の不祥事が起きた。競泳男子の冨田尚弥(25=チームアリーナ)が競泳会場で韓国メディアのカメラを盗んだもの。26日夜から27日未明まで地元警察の事情聴取を受け、本人も容疑を認めている。冨田はこの日帰国したチームと離れて、選手村で謹慎している。

 冨田を除く日本競泳陣は27日午後、羽田空港着の航空機で帰国した。上野広治競泳委員長(55)と平井伯昌監督(51)が会見した。上野委員長が「重大な規律違反によって、各方面に多大なご迷惑をおかけした」と謝罪し、2人で深々と頭を下げた。選手には帰国前のミーティングで経緯などを説明。みな驚き、言葉を失っていたという。同委員長は今後について「水連の処分はアジア大会後になるが、本人からも何か言ってくるのでは」と話した。

 事情聴取から戻った冨田と同じ部屋で一晩を明かした平井監督は「とても深く反省していた」。大会中には年末に行われる短水路世界選手権出場の意向を示し「来年の世界選手権や2年後のリオにも意欲を持っていた」と説明。「今大会は4位だったが、腐ったりはしていなかった。チームにも溶け込み、誰よりも熱心に応援していた」と、事件が信じられないという表情で話していた。