日本歴代2位の10秒01を持つ桐生祥秀(19=東洋大)が、ついに9秒台をマークした。男子100メートルは3・3メートルの追い風参考記録ながら9秒87で優勝。2・0メートルを超える追い風のため未公認となるが、電気計時では日本初の9秒台に突入した。

 98年に日本記録10秒00を出した伊東浩司氏(45=甲南大准教授)が、桐生を称賛した。「私の記録は、今日の段階で抜かれたと思っている。我々の頃は五輪メダリストしか出せなかったタイム。このスピードで100メートルを走り切ったことに意味がある」。

 スプリンターにとって、追い風はプラスばかりではない。「追い風は3メートルを超えると、逆に走ることが難しくなる。背中から風を受けてバランスを崩す場合がある」。足の回転がスピードに追いつかない場合、最悪で転倒の可能性もある。「(逆に)これほどの追い風がない方がいい走りができて、もっと記録が出たかも」。

 日本初の9秒台は、次戦の織田記念で出る可能性がある。伊東氏は「想定されていたのは10秒を切るぐらいのタイム。9秒87という数字を考えれば、9秒台で走れることはほぼ通過点になった。本人の中では9秒台が出ることは確信に変わったはずだ」と快挙達成を予想した。【益田一弘】