男子100メートルで日本歴代2位の10秒01を持つ桐生祥秀(19=東洋大)が、男子400メートルリレーで大爆発した。予選2組のアンカーで登場。最下位の7番でバトンを受けると4人をぶち抜いて、決勝進出の3着に滑り込んだ。男子100メートル予選5組では無風の中で10秒33で1着。全体の3位タイで準決勝進出を決めた後、リレーでリミッターを外した。今日15日の同100メートル準決勝、決勝で再び爆発する。

 やっぱり「ジェット桐生」は異次元だ。400メートルリレーの予選。2走と3走がバトンパスでもたついて、桐生は最下位で出番が来た。「予想では3番で来るかと思ったけど、最後で。追いついてやる!」。1人だけ早送りのような走りで次々と抜く。会場がどよめく中で、最後は4位筑波大を0秒01差でかわし、決勝進出の3着に滑り込み。まるで劇画のような逆転劇に「ピンチで燃えた。(前は)遠かったけど、ギアを上げた感じです」と笑った。

 圧倒的な走力だ。京都・洛南高3年時の13年8月にも高校総体決勝で最下位から6人抜きの逆転優勝。「リレーが好き」といい、前に選手がいるとスプリンターの本能に火がつく。「予想以上に走っちゃった。100メートルよりだいぶ疲れました。でもそんなこと言ってられない」。4日間8レースを走る初日に全力を出しても、充実感いっぱいだ。

 100メートルは予選5組を10秒33で1着通過。「30~40メートルでいけると思った」と後半を流した。省エネ運転だったが、2時間後のリレーで本気モードになった。

 今日15日は100メートル準決勝、決勝、400メートルリレー決勝の3本を予定。最大の照準は4月の織田記念国際で負けたケンブリッジ飛鳥。「リベンジしたい。気を抜いたらやられると思う」ときっぱり。目標タイムは世界選手権(8月、北京)の参加標準記録である10秒16としている。ただ思わぬ形で燃え上がったジェット桐生がいきなり爆発する可能性がある。【益田一弘】