「金」の走りをみてくれ! 男子200メートル予選で男子短距離界きってのイケメンスプリンター藤光謙司(29=ゼンリン)が、20秒37の全体1位で今日27日の決勝に進んだ。体に張ったのは特注の金箔(きんぱく)シール。今季は体のケアでも金を使い、好調を維持する。

 軽やかに振る藤光の両腕が、キラキラと輝きを放っていた。「7、8割で入った」という前半からコーナーを立ち上がって直線に。腕の回転速度が上がれば上がるほど、まるで光る帯のように人目を引いた。秘密は右上腕と、左手首に貼られた特製シール。「純金ですよ。陸上でもおしゃれを取り入れようかなと」と種明かし。1枚数千円もするシールで、「『金箔アスリート』というキャッチフレーズがあっても面白い」と売り込んだ。

 俳優の速水もこみち似のイケメンで、「速いもこみち」でもあるが、今後のアピールは「金」と決める。この日は見た目重視だが、実際にその効力を感じて好調なシーズンを送る。知人の勧めでシーズン前に始めたのが「金箔パック」。顔などに貼る代物で1回8000円ほど。多い時には週に3回通い、投資額もばかにならないが「金が体の中に入っていって、血流を良くしてくれる。疲労回復や精神面にも良い」という。

 確かに今季は安定しタイムに故障も少ない。4月には300メートルで32秒21。自身の持つ日本記録およびアジア最高記録を更新した。5月の世界リレー大会では男子400メートルリレーの銅メダル獲得に貢献。さらに同月のゴールデングランプリ川崎は200メートルで20秒33の自己ベストで優勝した。

 この日の予選は最後を流して、ベストに0秒04と迫る20秒37。決勝では、10年以来2度目の優勝を狙う。天候次第だが「(20秒)1、2台はいける」と自信がみなぎる。くしくも新潟は、日本最大の佐渡金山で有名。世界遺産への登録に動く当地に「金はそういう運も引き寄せるんです」と「金」メダルを確信するようにうなずいた。【阿部健吾】

 ◆藤光謙司(ふじみつ・けんじ)1986年(昭61)5月1日、埼玉県生まれ。浦和高-日大。10年アジア大会で200メートル銀メダル。12年にゼンリンと所属契約。自己ベストは100メートル10秒27、200メートル20秒33でいずれも今季に記録。182センチ、69キロ。