国際陸連は27日、女子マラソンの世界記録保持者で引退したポーラ・ラドクリフさん(英国)の血液データにドーピングを疑わせる異常値があったと報じられた問題に関し「科学的かつ法的根拠がない」と反論し、潔白を証明する文書を公表した。

 国際陸連は異常値を示したとされる検体について「2つの検体はレース直後のもので明確に状況説明できる」と述べ、その後に実施した尿検査と血液検査の結果も陰性だったと指摘した。さらに選手の血液データを蓄積した「生体パスポート」が導入された2009年より前のデータは証拠になり得ないと主張した。

 ラドクリフさんは「今回の件で名誉を傷つけられた。クリーンな選手でも異常値を出すことは今後もあり得る。こうしたデータは専門家が分析するまで機密性を保つことが大事だ」と訴えた。

 この問題は国際陸連が採取した約1万2000件の血液検査データが内部告発で漏れ、英紙サンデー・タイムズとドイツ公共放送ARDが8月に01年から12年に開かれた五輪と世界選手権で146個のメダルにドーピング疑惑があると報じていた。

 国際陸連は来週に英国議会で行われる文化・メディア・スポーツ相の特別委員会によるドーピング関連の公聴会を前に見解を明確にした形だ。