「最強の市民ランナー」川内優輝(28=埼玉県庁)が、2時間12分48秒で無念の8位に沈んだ。10キロ手前で感じた左ふくらはぎのしびれが影響し、日本人上位3位以内の五輪代表選考対象に入れなかった。次は20日の防府マラソン(山口)出場を予定。左足の回復次第だが、問題なく出場できれば、残る2度の選考会(来年2月東京、同3月びわ湖毎日)で日本陸連設定記録(2時間6分30秒)をクリアして代表枠をつかむ一発逆転プランをにおわせた。

 完走後、左足をかばって移動する川内の両脇を大会スタッフが固めた。会見場では目に涙を浮かべて「出し切って負けるのならしょうがない。でも、なんでこういうことになったのかな…」。無念の戦いだった。

 11キロ過ぎで先頭集団から離されていった。10キロ手前でしびれを感じた左ふくらはぎの違和感が、徐々に太ももへ。次々と後続に抜かれる展開。それでも「これが五輪じゃなくて良かった。(五輪なら)今日どころじゃない喪失感だっただろうな…」と考える自分がいた。ゴール後は医務室で軽い手当てを受け、競技場を去った。左足の具合は不透明ながら、20日の防府経由で「ウルトラC」の五輪選考再挑戦をにおわせた。

 「2週間後に(マラソンが)できるか分からないけれど、そこにもう1回合わせられるかどうか。合わせられないと2、3月が微妙になる。(防府で)走って考えられたらと思います」

 複数の選考会に挑戦した場合、設定タイムに到達しない限り、最初のレースが評価対象。東京、びわ湖毎日での2時間6分30秒切りが求められる。自己記録2時間8分14秒の川内には現実的には高いハードルだ。

 沿道の応援を受け「やめる(棄権)選択肢は全くなかった」と振り返る福岡の走り。足は動かなくとも、しつこく粘った。「最後」と定めるリオ五輪だって、簡単には諦められない。【松本航】