プレーバック日刊スポーツ! 過去の1月17日付紙面を振り返ります。2013年のこの日は、男子マラソンの川内優輝がエジプト遠征の飛行機にパスポート忘れで搭乗できず、自腹約80万円で別便の搭乗券を購入するはめになったと報じています。

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 男子マラソンの川内優輝(25=埼玉県庁)が16日、とんだドタバタ劇を演じてしまった。18日にエジプト・ルクソールで開催されるエジプト国際マラソンに招待選手として出場する川内はこの日夜、成田を出発。ところがパスポートを自宅に忘れてしまったため、航空便の変更を余儀なくされた。結局、母美加さんに持ってきてもらい、変更した便のフライト1時間前に出国手続き完了と、破天荒な出発となった。

 先生、それは大失態ですよ~。高校の定時制事務職員として働く真面目な公務員ランナーが、あわや号砲に間に合わないところだった。この日午後8時50分発のエジプト航空機で出発予定だった川内は、搭乗2時間前に成田空港に現れた。ところが…。どこか様子がおかしい。焦りの色はありあり。同航空のカウンターに小走りで向かい、なにやら関係者に事情を説明。観念したような絶望感でぼうぜん自失の中、報道陣にやっと口を開いた。「やばいっす、電車が遅れていて…、やばいっす」。

 何のことやら訳の分からぬ報道陣に、張りのない声で答えた。判明したのはこうだ。川内は成田空港に到着後、パスポートを埼玉県内の自宅に忘れたことに気付いた。慌てて自宅に電話を入れ大至急、持ってきてもらうよう頼んだが、成田空港に向かう公共機関も2日前の大雪の影響でダイヤが乱れ、出発便に間に合わない可能性が高い。川内の「電車が遅れて…」は、出発できない焦りだった。

 その後、エジプト航空関係者が間に合わない場合を想定し、午後10時30分発のカタール航空でドーハ経由ルクソール行きの便を手配。パスポートの到着は午後8時40分で、このカタール航空での離陸となった。

 出費も大痛手だ。当初の便ならもちろん無料だが、別便の搭乗券を購入するはめに。この出費が、往復で何と約80万円。「やむを得ないですね。自分が悪いんで。人生で最高に焦りました」。そんな言葉を発して「高すぎる」搭乗機に乗り込んだ。

※記録と表記は当時のもの