<陸上:東日本実業団選手権>◇第1日◇18日◇茨城・笠松運動公園陸上競技場

 陸上界に“公務員ウオーカー”が誕生した。今春岩手大から盛岡市役所に進んだ吉田琢哉が男子5000メートル競歩に19分35秒68で優勝。2500メートル付近でロンドン五輪20キロ競歩代表だった藤澤勇(25=ALSOK)を振り切ると、終盤で今夏の世界陸上50キロ競歩代表の森岡紘一朗(28=富士通)が2位に上がったが寄せ付けなかった。

 吉田は20キロ競歩で世界陸上のA標準を破っているが、代表選考競技会で敗れて代表入りできなかった。代表常連選手に勝った感想を問われると「お二人とも本調子ではなかったようですが、勝てたことは気持ちの面で成長にプラスになります」と、初々しい笑顔で答えた。

 朝の8時30分から夕方の5時15分までの勤務。現在は転入や転出する人のデータ入力などを任されている。出勤前に自宅近くを歩き、勤務後は母校の岩手大でトレーニングを積む。練習時間や合宿などで優遇されることはないが、岩手県が2016年に国体開催を控えていることもあり、職場の理解は得られている。

 “公務員ランナー”として活躍する川内優輝(26=埼玉県庁)のことは「同じ公務員という環境で結果を出されている。目標にしています」と、モチベーションアップの存在として意識している。

 「自分で選んだ道ですから、厳しい環境でも結果を残していきたい。20キロで1時間19分台を出すのが当面の目標ですが、大きいところではオリンピック代表も目指してやっていきます」

 3年後のリオ五輪に、マラソンと競歩で公務員選手が出場する可能性も出てきた。