<陸上:ゴールデンガラ・ダイヤモンドリーグ第5戦>◇7日◇ローマ◇男子100メートル

 ジャスティン・ガトリン(31=米国)が9秒94で、世界記録保持者のウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)を0・01秒差で破った。ボルトが敗れたのは昨年6月末のジャマイカ選手権、ヨハン・ブレーク(23=ジャマイカ)に負けて以来のこと。

 予想に反して、スタートで飛び出したのはボルトの方だった。リアクションタイムは0・143秒で参加選手中一番。だが、リアクションでは0・020秒遅れたガトリンが中盤で並ぶと、わずかながら前に出た。得意とする後半でボルトが伸びなかった。

 ガトリンは2004年のアテネ五輪、05年ヘルシンキ世界陸上の連続金メダリスト。だが、ドーピング違反で出場停止期間が4年間あり、2010年に復帰したときはボルトの時代になっていた。昨年のロンドン五輪はボルトとブレークのジャマイカ勢に届かず銅メダル。「昨シーズン多くの試合を一緒に走り、ボルトとブレークは最後の20メートルが違うとわかった。自分も五輪後に、レースの後半を強化してきた」

 ガトリンはボルトのことを「この種目を誇るべきものとした伝説の男」と評価する。「ここ数年、人々は100メートルで9秒7前後が出ることが当たり前に感じ始めている。だからこそ、彼に勝つことに意味があると思う」

 ドーピングに手を染めた男も、誇りを取り戻したのかもしれない。