陸上男子やり投げで09年世界選手権銅メダルの村上幸史(31=スズキ浜松AC)が、「再現力」をテーマに世界の頂点を目指す。セイコー・ゴールデングランプリ川崎(5月8日・等々力競技場、日刊スポーツ新聞社主催)の招待選手会見が19日に都内で行われ、今シーズンを前に意気込みを語った。

 村上

 前回の世界選手権以降、3年間のプロジェクトでやってきた。何も変えない、やってきたことを貫く。再現力をテーマに常に最低80メートル。世界と戦うためにも、そこが目標です。

 来年の五輪をにらみ、「再現力」がキーワードだ。80メートル台のハイアベレージを投げ続け、大きな一投につなげるという考え。昨年11月のアジア大会は、自己ベストの83メートル15で優勝。いいイメージを持ったまま、冬は跳躍トレーニングなどで基礎体力づくりに励んだ。「ケガもなく順調」と言う表情には充実感がただよう。

 8月の世界選手権(韓国・大邱)は、来年の五輪へ格好のシミュレーションとなる。今季への思いを漢字1文字で例えるなら「勢」だ。「(愛媛の今治明徳)高校からやり投げを始め、勢いが大事。これが僕の最もいい部分です」と胸を張る。今回の川崎は震災復興大会。それを踏まえ、「東北の仲間も被災した。被災地にいない僕は、その分、頑張らないといけない」と気持ちを奮い立たせた。

 今週末の日本選抜和歌山を手始めに、まずは自己ベスト更新に挑む。「今の段階で85メートルが見えている」。2大会連続の世界選手権のメダルへ、村上は確かな手応えとともにシーズンインする。【佐藤隆志】