日本陸連が来年のロンドン五輪に向け、5000メートル、1万メートルのエリートランナーを「ケニア化」する。永里初・男子長距離部長は23日、年内にメンバーを厳選した上で来年1月にケニアへ3週間の日程で渡り、同国選手と合同合宿することを明かした。過去に実業団選手が個人的に合宿を張ったケースはあるが、日本陸連としては初めて。

 くしくもこの日の国際千葉駅伝では、3区で竹沢(エスビー食品)、5区で鎧坂(明大)の日本代表の看板選手たちが、そろってムウィキャ、モクアという17歳のケニア選手にあっさり逆転された。竹沢は「見ての通り。抜かれた時のスピード、動きが違う」。そんな現状に日本陸連強化委員会は、強い危機感を抱く。

 永里部長は「日本は環境に恵まれている。不便で過酷な環境で、走る原点に立ち返らせたい」と言う。現地食を食べ、寝食をともにすることでケニア人のハングリー精神を学ぶ。場所も標高3000メートルの高地を予定し、まさに「トラの穴」ともいうべき強化策だ。メンバーは竹沢、鎧坂に、世界選手権代表の佐藤(日清食品)、渡辺(四国電力)。さらに村沢(東海大)、宇賀地(コニカミノルタ)が濃厚。世界の後塵(こうじん)を拝する日本陸上界が、大きな一手を打つ。【佐藤隆志】