ロンドン五輪出場を目指すカンボジア国籍のタレント猫ひろし(34)が、当初予定していた東京マラソンではなく、2月5日に開催する別府大分毎日マラソンに出場することが17日、分かった。大会主催者が一般参加で出場することを発表した。別府大分毎日マラソンは好記録が期待されるレースとして知られている。関係者によると、カンボジア代表内定を目指す猫も「記録が出やすい」として方針を変更したという。

 国籍を変えて目指す悲願達成に向け、猫が方針を大きく変更した。昨年11月に出場した東南アジア大会で自己ベストとなる2時間37分39秒の記録を出したが、カンボジア五輪委員会が代表内定の基準として設定した「2時間31分前後」には及ばなかった。同レース終了後、リベンジの機会として、東京マラソン(2月26日)に照準を合わせていたが、コーチらと相談した結果、最終的に別府大分毎日マラソンに出場することを決意した。

 理由は明快だ。猫の関係者は「東京マラソンよりも走りやすく、記録が出やすいと判断しました」と説明する。別府大分毎日マラソンは、風の強い海沿いを走るが、全般的に平たんなコースが続く。さらに09年にはコースが変更され、かつてあった急傾斜のカーブを走る回数が減り、当日の状況によっては追い風を期待できる設定にもなった。猫は、こうした諸条件を検討した上で、同レース出場を決めた。

 この日、同レースへの意気込みをレース主催者を通じて発表した。「今回がロンドン五輪の選考の1つになるかも知れません。ベストを尽くして猫まっしぐらで頑張りますニャー」。

 準備は進んでいる。13日にカンボジアから日本に戻り、トレーニングを再開している。カンボジアのオリンピック委員会からは「自己ベストを出すように」と通達されている。関係者は「お正月はカンボジアで過ごして帰ってきたが、もう完全にカンボジア人の顔です。本気モードです」と猫の様子を語った。

 東京マラソンは、五輪の日本代表の選考レースとして注目されるが、別府大分毎日マラソンにも、2時間6分16秒の記録を持つダニエル・ジェンガら国内招待選手6人のほか、海外招待選手7人が出場する予定。猫にとって同レースが最後の挑戦の場になるか未定だが、気持ちは「背水の陣」だという。

 ◆別府大分毎日マラソン

 52年に始まった歴史ある大会で、毎年2月の第1日曜日に開催されている。高低差の少ない平らなコースで好記録が出やすいといわれている。63年には、寺沢徹が2時間15分15秒という当時の世界最高記録をマークした。大会記録は南アフリカのゲルト・タイスが96年に出した2時間8分30秒。