北京五輪男子マラソンでカンボジア代表だったヘム・ブンティンは17日、昨年10月に国籍を取得した猫ひろし(34)のロンドン五輪代表が覆らない場合は、同国五輪委員会などを相手に法的措置に訴える可能性を示唆した。共同通信の電話インタビューに答えた。

 カンボジア五輪委員会は3月に猫を代表に選んだが、国際陸連が参加資格を疑問視している。ブンティンは猫について「カンボジア国籍を取得して1年もたっておらず、日本に住んでいる。タイムも自分より遅い」と批判。15日のパリ・マラソンで2時間23分29秒のカンボジア新記録を樹立し、猫の自己記録を7分近く上回ったことから、「帰国したらカンボジアの五輪委員会と陸連にパリでの記録を提出する。カンボジア人として国を代表したい」と、五輪出場を目指す考えを示している。

 一方の猫も五輪出場を見据えて、6月17日にカンボジアで行われる「第2回プノンペン国際ハーフマラソン」に出場することを決めた。昨年の同大会ではブンティンに敗れ2位。猫に近い関係者は「五輪前の公式大会出場は現状、この大会のみです」と話している。ブンティンの出場は不明だという。

 ただ、カンボジアの地元紙プノンペンポスト電子版はこの日、五輪代表が猫のままであることについて、猫サイドが「プノンペン国際ハーフマラソン」をスポンサードするなどして、カンボジア五輪委員会の好感を得ているからだと指摘した。猫の関係者は「大会を共催していますが、五輪出場の件とは一切関係ありません」と話している。

 関係者によると、猫はこの日も都内で練習したという。ブログでは「いろんなことあるけど、とにかく毎日練習だけはやろう」などとつづっている。