最強市民ランナーはテロに屈しない!

 今日21日に行われる長野マラソンの招待選手記者会見が20日、長野市内で開かれた。テロにより多数の死傷者を出した15日のボストン・マラソンの記憶も新しい中、川内優輝(26=埼玉県庁)はリスクと向き合って、敢然と信濃路に飛び出す。

 愛するマラソンで死者を出した事実に、川内は慎重に言葉を選んだ。「犠牲者の方々に深く、おくやみ申し上げます」。実は同マラソンから招待を受け、早めに断ったものの、1歩間違えば事件に巻き込まれた可能性もある。「1人の競技者として、2度と起きないことを願っています」と神妙に口を開いた。

 大会は民間警備員500人に、長野県警も予定の150人を増員して警備にあたる。「信頼していますから」と、川内が大会事務局に警備面を問い合わせることはなかった。「普通に走っていても心臓まひを起こすとか、リスクは必ずある。リスクを恐れていては家から1歩も外に出られない。無用に怖がることなくやっていかないといけない」と信念をのぞかせた。

 代表入りが確実な、8月の世界選手権(モスクワ)に向けたステップのレースになる。15回目の大会で過去に日本人優勝者はいない。「22回走ったマラソンの経験はペースメーカーがいなくても生きる。日本人初優勝を目指します」。同走する約1万人の市民ランナーには、走る勇気を発信する。【渡辺佳彦】