スラムダンク奨学生村上16点／高校バスケ

＜全国高校バスケット選抜優勝大会：山形南７２－６９柏日体＞◇男子２回戦◇２５日◇東京体育館

　男子の山形南（山形）が柏日体（千葉）との激戦を制し、１６強進出を決めた。今月６日に第７回スラムダンク奨学生に選ばれたＦ村上駿斗（３年）が何度も勝ち越しシュートを決めるなど１６得点と活躍した。

　ブザーの瞬間、山形南ファイブとベンチが一斉に叫び、ガッツポーズを作った。第４Ｑ（クオーター）序盤、Ｆ村上のシュートで逆転するも、そこから白熱したシーソーゲームに。それでも「いつも通り落ち着いてできた」と村上。残り１０秒を切り１点差でＦ遠藤卓（３年）が落ち着いてフリースローを２本決め、勝負をつけた。昨年初戦で土浦日大に残り８秒で逆転負け。以来、残り３分間の戦い方を意識して鍛えてきた成果が大一番で生きた。

　５番の村上は、今月始めに「スラムダンク奨学生」に選ばれたばかり。今日の出来は「３０点です」と話すも、自信みなぎる力強いプレーで１６得点と勝利に貢献した。１０月に応募し、１１月の最終選考で米国で直接留学先のコーチにプレーを見てもらい、見事に権利をもぎとった。「絶対選ばれると思って受けてました」。幼い頃からＮＢＡに憧れ、米国でのバスケ修行に行くことは高校入学時からの希望。細谷尚寿監督（４７）も「好きなことに挑戦してほしい」と背中を押した。

　将来はポイントガードとして大成したいと話すが、現在のチームでは「（スラムダンクの主人公）桜木花道です」。体を張ってリバウンドを取るのが役目だ。同作に登場する山王工業エース沢北のように、自宅には照明付きのハーフコートもある。今は山形市内で下宿生活を送るが、中学生までは毎日遅くまで２つ下の弟と１対１を繰り返した。

　高校最後の大会。日本一を取って米国に渡るつもりだ。今日２６日の準々決勝の相手は高校総体、国体を制した京北（東京）。村上は「得意なドライブを決めたい。一発勝負」と不敵に笑みを浮かべた。マンガ「スラムダンク」の中で王者に金星を挙げた湘北のようにチャレンジャーとして思い切りぶつかっていく。【高場泉穂】

　◆村上駿斗（むらかみ・しゅんと）１９９６年（平８）２月１７日、山形県白鷹町生まれ。東根小２年から本格的にバスケットボールを始める。東中１年では、ＪＯＭＯ（現ＥＮＥＯＳ）が主催するジュニアＮＢＡ派遣チーム１２人に選出される。１８３センチ、７４キロ。血液型Ｏ。特技はスキー。家族は両親、弟、妹。弟は山形南で背番号１８の魁人（１年）。

　◆スラムダンク　高校バスケットボールを題材にした累計１億部超の人気マンガ。髪の赤い不良少年の主人公桜木花道が湘北高バスケットボール部に入部し成長していく過程を描く。作中で湘北は夏の総体に神奈川代表で出場。２回戦で３連覇の王者山王工業（秋田）に勝つ金星を挙げる。

　◆スラムダンク奨学金　漫画「スラムダンク」作者の井上雄彦氏と集英社が、単行本累計１億冊到達をきっかけに０６年に立ち上げた奨学金制度。日本の高校、高専または専修学校高等課程卒業見込みの希望者から奨学生を選出。米国の大学準備機関であるプレップスクールに派遣し、１４カ月間の学費、生活費を援助する。昨年募集された６期生は鶴岡工の山木泰斗（ひろと）で、２期連続で山形から選ばれている。

　［2013年12月26日11時9分　紙面から］