<米男子ゴルフ:全英オープン>◇2日目◇17日◇英・ターンベリー(7204ヤード、パー70)

 【ターンベリー=木村有三】必ず戻ってくる!

 石川遼(17=パナソニック)が「聖地」でのリベンジを誓った。初日21位の好スタートを切りながら、2日目は78と崩れ、通算6オーバー146の85位で予選落ち。メジャーでは4月マスターズに続く屈辱を味わった。タイガー・ウッズ(33=米国)との同組、全英特有の強風、そして世界で感じた課題…。激動の2日間をすべて吸収した17歳は、セントアンドルーズ・オールドコースで開催される来年大会に「戻ってきたい」と声を振り絞った。

 悪夢を振り返る石川の目が潤んでいるように見えた。初日にほほ笑んでくれたターンベリーの女神が、一転して魔女に変わった。2日目は強風が吹き荒れ、一時は強い雨も降った。キバを向いたリンクスに対応できなかった。

 石川

 9番までは我慢できたけど、まさかこんなバック9(後半9ホール)になるとは思わなかった。ここまでボギーが続くとは、まったく予想していなかった。風にボールが負けたというより、基本的な姿勢が風にかなわなかった。

 前半は1ボギーで踏ん張ったが、立っているのもつらいほど風が勢いを増した後半は耐え切れなかった。波打ち際の10番パー4。毎秒10メートルを超え、海上のヨットが転覆しそうになるほどの風が、左の海方向から吹き始めた。最大の武器が50ヤード近くも風に流され右のラフへ。この1打でプレーにも迷いが生じ始めた。

 石川

 40ヤードくらいあるフェアウエーの左を狙ったのに。完全に風に負けた。あそこから風に気持ちが負け始めた。

 このホールはダブルボギー。続く11番から15番まで5連続ボギー。首位と4打差の2アンダーでスタートしたのに、通算6オーバーまで落ちた。

 石川

 11番のパットも、12番のセカンドも、もう1度やれと言われれば、入れることも、グリーンに乗せることもできるのに。あの状況だからこそ難しかった。13、14番くらいで(予選通過ラインを)気にし始めた。準備は万端だと思っていても凡ミスが出る。自分の実力のなさです。

 同組のウッズも同じように強風に苦しみスコアを落とし続けた。それも微妙に影響した。あこがれの存在の大乱調に動揺し、自分への不安や焦りも増幅していった。

 石川

 (ウッズを)一番近くで見ていたけど、ちょっと信じられない方向に飛んでいた。他の選手を気にするのは正しいとは思わないけど、「どうしたのかな」と思った。

 もっとも経験豊富な世界の強豪も、この日は苦しんだ。初日65の03年全英王者カーティスは80、06年全米オープン王者G・オギルビーは78をたたき、ウッズでさえ2日間5オーバーで予選落ちした。そんな悪条件下でもまれた経験は大きな財産になる。

 石川

 ドライバーのミスは、9番と10番だけ。これだけ強い風の中でドライバーを打ったことがなかったので、いい経験になった。(ウッズは)「ナイスショット」と声をかけてくれて励みになった。この1年は大きな1年になる。

 4月マスターズではカットラインに5打届かなかった。だが、今回は2打。

 石川

 マスターズが終わって練習してきたつもりだったけど、まだ足りない。メジャーを経験すればするほど練習不足を感じる。来年は全試合メジャーに出ることを目標にしたい。1年後、必ず戻ってこれるように、日本に帰ってから厳しい練習を積んでやりたい。

 来年の全英はセントアンドルーズ・オールドコースでの開催。もっとたくましく、強くなって、必ず聖地に戻ってくる。