シンクロナイズドスイミングの国際大会ジャパンオープンは、第92回日本選手権を兼ねて29日から東京辰巳国際水泳場で行われる。昨夏の世界選手権で4大会ぶりのメダルを獲得した日本代表マーメイドジャパンは、チーム、乾友紀子(25=井村シンクロク=と三井梨紗子(22=東京シンクロク=のデュエット、ソロの乾が出場する。日本代表の井村雅代ヘッドコーチ(HC、65=は五輪前最後の実戦となる今大会をステップに、8月のブラジル・リオデジャネイロでの五輪メダル奪還をもくろむ。

井村HC「重要な大会」

熱のこもった指導を行う井村雅代ヘッドコーチ
熱のこもった指導を行う井村雅代ヘッドコーチ

 悲願の五輪メダルへの試金石になる。ジャパンオープンは、リオデジャネイロ五輪前の最後の実戦。井村HCも「オリンピック本番に向けて重要な大会」と位置付ける。チームは3月の世界最終予選から大幅に変更したプログラム、デュエットは新たなフリールーティン(FR=を初披露する。

 昨年は日本シンクロの復活の年になった。14年4月に、五輪計14個のメダルへ導いた井村HCが復帰。1日12時間以上の厳しい練習を積み重ねる。選手の足は筋肉質で、鉛筆の芯のように細くなった。世界選手権ではチーム、デュエット、フリーコンビネーションで銅メダルを獲得。日本勢としては07年メルボルン以来、4大会8年ぶりの表彰台だった。

 このまま五輪メダルも有力と思われたが、3月の五輪世界最終予選では、出場権獲得も、メダル争いのライバルのウクライナに0・0525差で敗れて2位に終わった。その後はチームFRを大幅に変更。リフトは体操や中国雑技団を参考にした独自のひねりを加えた大技を開発した。デュエットのFRも新作を初披露する。井村HCは「リオに期待と希望が感じられる演技にしたい」と意気込む。五輪のメダル獲得を占う大会からは目が離せない。

「風と雷」をテーマに

エース乾友紀子(右)と三井梨紗子
エース乾友紀子(右)と三井梨紗子

 デュエットのFRのテーマは、選手からの提案が生かされた。乾と三井は井村HCに複数のアイデアを提案。その中から「天気」が選ばれた。晴れの日もあれば嵐の日もある。2人は「風と雷」をテーマに抑揚をつけた演技を見せる。チームの五輪出場権を懸けた先月五輪最終予選ではウクライナに敗れた。デュエットでも強力なライバルになるだけに三井は「危機感が違う」と引き締めた。

◆リオデジャネイロ五輪シンクロ日本代表

●デュエット代表
 乾友紀子(25=井村シンクロクラブ)
 三井梨紗子(22=東京シンクロクラブ)
 補欠=吉田胡桃(24=井村シンクロクラブ)

●チーム代表
 乾友紀子
 三井梨紗子
 吉田胡桃
 箱山愛香(24=アクラブ調布)
 中村麻衣(27=井村シンクロクラブ)
 丸茂圭衣(24=井村シンクロクラブ)
 中牧佳南(23=井村シンクロクラブ)
 小俣夏乃(19=アクラブ調布)
 林愛子(22=井村シンクロクラブ)

前回大会は4種目で完全優勝

 前回大会は15年5月2~4日、東京辰巳国際水泳場に海外11カ国を迎えて行われ、15年世界選手権日本代表が4種目で完全優勝を果たした。

 注目のデュエットは乾友紀子・三井梨紗子が181・5699点をマークし、2位の加島知葉・福村寿華(井村シンクロク)に17・5962差の圧勝。世界選手権での表彰台復帰に弾みをつけた。チーム(乾、三井、中村、箱山、吉田、中牧、丸茂、林)も182・0475点で2位アクラブ調布Aに13・7463差をつけた。ソロも乾が2位の荒井美帆(ミキハウス)に大差をつけて優勝。チームに小俣、田崎を加えたフリーコンビネーションでは、2位ブラジルを抑えた。

 また、大会の話題をさらったのが世界選手権初採用種目の混合デュエット。日本代表の足立夢実・安部篤史がデュエット・フリールーティンで乾・三井に次ぐ2番目の得点をマークし、喝采を浴びた。

◆競技内容

 泳者が1人の「ソロ」、2人の「デュエット」、4~8人の「チーム」、8~10人の「フリーコンビネーション(FC)」の4種目で争う。FCはソロ、デュエット、トリオ、グループを自由に組み合わせて演技し、3人未満のパートと8~10人のパートを各最低2回泳ぐ。プログラムのうち、「テクニカルルーティン」は、音楽に合わせて決められた規定要素を取り入れて行う。また、「フリールーティン」は音楽に合わせて自由に演技する。なお、FCはフリーのみで争われる。

4月29日からシンクロジャパンオープン2016

 シンクロナイズドスイミングの国際大会「ジャパンオープン兼第92回日本選手権」が、29日から5月1日まで東京辰巳国際水泳場で開催される。8月のリオデジャネイロ五輪(ブラジル)を控える日本代表は、乾友紀子(25=井村シンクロク)と三井梨紗子(22=東京シンクロク)のデュエット、チーム、ソロ(乾)で出場する。昨夏の世界選手権(ロシア・カザニ)ではチームのフリールーティン(FR)とテクニカルルーティン(TR)デュエットのFRで銅メダルを獲得した。世界選手権では07年メルボルン以来、4大会ぶりの表彰台。日本代表の井村雅代ヘッドコーチ(65)は今大会をステップに、五輪メダル奪還をもくろむ。五輪前最後の実戦となる日本代表の演技が注目される。

五輪メダルへの試金石大会

 悲願の五輪メダルへの試金石になる。ジャパンオープンは、リオデジャネイロ五輪前の最後の実戦。日本代表の井村ヘッドコーチも「オリンピック本番に向けて重要な大会」と位置付ける。チームは3月の世界最終予選から手直ししたプログラム、デュエットは新たなFRを初披露する。

 昨年は日本シンクロの復活の年になった。14年4月に、五輪計14個のメダルへ導いた井村ヘッドコーチが10年ぶりに復帰。1日12時間以上の厳しい練習を積み重ねる。選手の足は筋肉質で、鉛筆の芯のように細くなった。夏の世界選手権ではチームのTRとFR、デュエットのTR、フリーコンビネーションで銅メダルを獲得。日本勢としては07年メルボルン以来、4大会8年ぶりの表彰台だった。

 近年は低迷が続いただけに、歓喜に包まれたが、井村ヘッドコーチは、五輪メダル奪還へ、すぐにスタートを切る。8月3日にロシアから帰国すると「休暇はない。ありえへん」と同19日からは新たなチームFRのプログラムの作成に入った。TRに続き日本調の曲を選択。井村ヘッドコーチは「繁栄の幕開けを意味する演技。選手も元気づき、頑張れるものにしたい」と狙いを話した。

 メダルを争うウクライナに差をつけるため、難度の高い構成に挑む。1つの動作が終わった後の間が短く、終盤には約22秒の長い足技もある。さらにハイライトのリフトを強化するため、元中国雑技団副主席の盧毅(ルー・イー)氏を招へい。日本人が苦手といわれるリフトの高さと正確性を磨いた。エースの乾は「世界のレベルも上がっている。どの国も速い展開。このくらいやらないと勝負できない」と覚悟を決めるように言った。

復活を期して五輪へ

 最初の関門は3月のリオデジャネイロ五輪世界最終予選だった。デュエットは昨年の世界選手権で出場を獲得していたが、チームはまだ得ていなかった。3位以内が出場条件も、日本としては、ライバルのウクライナを上回ってのトップ通過だけを目指した。大会は屋外プールの五輪会場で行われるため、1月下旬からは約2週間、屋外プールのあるグアムで合宿を敢行。強い日差しや風雨に耐えながら練習を続けた。井村ヘッドコーチが「突風の中でもそれなりにまとめられるようになった」と話すほど、たくましさは増していった。

 メダルを争うウクライナと競い合う同予選。会場は五輪本番会場と、まさに前哨戦だった。日本チームは攻めの演技を披露したが、結果はウクライナに敗れ2位。目標のトップ通過を逃した。不運もあった。TRは1番スタート。通常は1番演技者の前にジャッジの採点基準を調整するためのプレスイマーがいるが、同予選では不在だった。1番スタートの日本の得点はばらつき、ウクライナにリードを奪われた。翌日のFRではウクライナを上回ったものの、合計では0・0525差で敗れた。

 不運があったとはいえ、ミスがあったことも事実。FRの終盤のリフトでバランスを崩す場面があった。井村ヘッドコーチは「そのような失敗がなければ、小差は挽回できた。今回は良い薬になった」と前向きにとらえた。乾も「僅差で負けたのは自分たちに隙があったということ」と言えば、三井も「今回の負けは自分たちの力になる。反省点を考えて、本番にいかしたい」と巻き返しを誓った。

 先月からはチームは同予選の反省をいかして、さまざまな修正を続ける。デュエットは新たなプログラムに取り組む。井村ヘッドコーチは「今回のジャパンオープンでチームは手直しの通過点。デュエットは大切なデビュー戦。どこまでの完成度を見せられるか」と表情を引き締めた。五輪前では最後の実戦。五輪本番を占う意味でも、復活を期す日本代表の演技から目が離せない。

ヤクルトパワーでメダル獲得だ!

日々のヤクルト製品愛飲で体調管理に努める日本代表チーム
日々のヤクルト製品愛飲で体調管理に努める日本代表チーム

 シンクロ日本代表はヤクルト本社提供の乳製品とともに世界と戦う。なかでも強い味方は生きて腸内に到達し、腸内環境を改善する乳酸菌シロタ株を1本(80ml)あたり400億個含んだヤクルト400LT。乾は「たくさん食べても胃もたれしなくなった」。三井は「夜飲んでいるおかげで、おなかの調子が良い」と話す。選手たちを体の中から美しくする、体調管理に不可欠な存在だ。

【観戦ガイド】

◆日程
4月29日(金・祝)午前9時開場=ソロ・チーム・デュエット各TR、ソロFR予選
4月30日(土)午前9時開場=チーム・デュエット各FR予選、フリーコンビネーション決勝
5月1日(日)午前10時40分開場=開始式、ソロ・チーム・デュエット各FR決勝
※注=TRはテクニカルルーティン、FRはフリールーティン
◆会場
東京辰巳国際水泳場(東京メトロ辰巳駅)
◆参加予定国
オーストラリア、ブルネイ、カナダ、日本、マレーシア、メキシコ、シンガポール、スロバキア、スイス
◆料金
3日間通し指定席=1万5000円、座席指定SS=5000円、同S=4000円、自由席=2000円
◆前売り所
チケットぴあ 電話 0570・02・9999
◆テレビ放送
5月1日午後4~6時にNHK総合テレビで放送予定
◆ライブ配信
日本水泳連盟公式HPからアクセス
◆大会事務局
電話 03・3547・0900
◆関係団体
<主催>日本水泳連盟
<主管>東京都水泳協会
<後援>日刊スポーツ新聞社、上月財団
<特別協賛>ヤクルト本社
<協賛>レオパレス21、コーセー、日本航空、日本製粉、味の素、ファイテン、セイコーホールディングス、ミズノ、バカラ パシフィック、ヤマハ発動機、オーエンス、タキロンマテックス
<協力>スポーツアカデミー、鈴乃屋
◆公式ページ
>>日本水泳連盟シンクロページ