<高校総体:みちのく発>

 青森山田(青森)・卓球男子の吉田安夫監督(78)が、熊谷商、埼玉工大深谷時代を含めてインターハイ団体25度目の優勝に導いた。選抜は22度、国体は24度優勝。ダブルス、シングルスを含めると教え子の全国タイトルは200を超える。名将がまた1つ記録を伸ばした。

 もともとは埼玉県熊谷市出身。熊谷商、埼玉工大深谷の監督時代は青森勢がライバルで、激しくしのぎを削った。95年に青森山田の監督に就任し、現在は青森大、青森山田中を含めた青森山田学園総監督。今回は地元開催のインターハイVという使命を見事果たした。

 「技術は大事だが、気持ち、人間としての強さがもっと大事」というのがモットー。現役の高校生はもちろん、五輪や世界選手権代表クラスの選手でも、吉田監督の教え子は実に礼儀正しく、謙虚なのが特徴だ。それが大舞台での粘り強さ、底力につながっている。

 福原愛、水谷隼、松平賢二・健太兄弟ら卒業生に続いて、丹羽孝希ら現在のメンバーが立派に伝統を引き継いだ。会場に吉田監督が姿を現すと、それだけで空気が変わる。まさに日本卓球界を支えるカリスマ指導者。78歳だが元気そのもので「まだまだ頑張るよ」と気力も衰えを知らない。【北村宏平】