世界5位の錦織圭(25=日清食品)が、アウェーの中で、悲願の4大大会初制覇に向けて最高のスタートを切った。同123位で、大会推薦選手の地元フランスのマチューを6-3、7-5、6-1で破り2回戦に進出した。2回戦ではマトセビッチ(オーストラリア)-ベルッシ(ブラジル)の勝者と対戦する。

 アウェーなど何するものぞ。錦織は、観衆の大半が地元のマチューを応援するアウェーの中で、しっかりと集中していた。「一発がある危険な選手」と警戒していた元世界12位に、少してこずったもののストレート勝ち。4大大会で、対地元選手の無敗を守った。

 赤土での前哨戦3大会で10勝2敗。勝率83・3%は無敗の世界1位のジョコビッチと同3位のマリーに次ぐ3位だ。2敗はその2人に敗れただけ。全仏前としては過去最多の試合数をこなし「これまでで最高の準備ができた」。その言葉どおり、地力の差を見せた。

 個人競技のテニスでは、チーム競技ほどの“アウェーの洗礼”はない。しかし、特に4大大会では地元選手への声援は大きい。この日も、入場と同時にマチューへの大声援が飛んだ。錦織がリードしてマチューの流れが悪くなると、観客が手拍子で後押しした。

 錦織には嫌な思い出もある。13年大会の3回戦。地元フランスのペアとの試合中にブーイングを食らった。第2セットのペアのセットポイントで、観客席にいたペアのコーチが違反行為で、セットポイントが取り消された。錦織に落ち度はなかったが、観客は錦織にブーイングの嵐。「こんなにブーイングされたのは初めて」という経験をした。

 その2年前と同じコートで、最後はサービスエースで快勝。「ベスト8は最低条件。できれば4強より上を狙っていく」と話していた錦織は力強く、4大大会制覇への第1歩を踏み出した。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 25日午後5時55分~、午前0時~、WOWOWライブ。男女シングルス1回戦。生中継。放送時間変更の場合あり。