ついにナダルの厚い壁をぶち壊した! 世界4位の錦織圭(25=日清食品)が、過去7戦全敗で4大大会14度の優勝を誇る同9位のナダル(29=スペイン)に6-2、6-4と快勝し、ベスト4に進出だ。これでナダルを含め“ビッグ4”と呼ばれるジョコビッチ(セルビア)フェデラー(スイス)マリー(英国)の全員から勝ち星を挙げた。日本時間16日午前9時以降に始まる準決勝では、昨年5月のマドリードオープン以来、マスターズ大会2度目の決勝進出をかけ、同3位のマリーと対戦する。

 まさに“しばき”倒した。過去7戦全敗のうさを晴らすように、世界の壁といわれるナダルの守りを、錦織がストロークでぶち壊した。「完全に支配できた」。最後もフォアをたたき込み、突き上げるガッツポーズ。「長かったが、ついに勝てた」と、08年初対戦以来、8年目でつかんだ初勝利の喜びを、その拳に込めた。

 真っ向勝負だった。ドロップショットやロブなど、遊び心はいらない。ベースラインから下がらず、速攻でストロークを畳み掛けた。5本以下のラリーで奪った得点がナダルの26に対し錦織は39。6本以上になると、21と20で、ナダルが1点上回った。短期決戦で、ナダルに守るスキを与えなかった。

 第1セットの第2ゲームで、ブレークポイントを逃れ自分のサービスゲームをキープ。そこから5ゲームを連取し「ストロークで主導権を握れた」と圧倒した。第2セットも0-1から4ゲーム連取。第6ゲームで、この日、初めてサービスゲームを落とした。しかし、「打つのをやめなかった」と、得意のバズーカフォアで16本の決定打を打ち込みストレート勝ちだ。

 現在のトップ10の中でも、ビッグ4すべてに勝ち星を挙げているのは、ビッグ4以外ではバブリンカとベルディハだけだ。また、現在のトップ10の全員から勝ち星を挙げているのも、その6人だけだった。そこに錦織の名が加わった。昨年、準優勝した全米で宣言した「勝てない相手はもういない」という言葉を、ついに証明したことになる。

 次戦は、マリーが相手だ。守備力はナダルと同等で、現在の力はナダル以上だ。「体力的にも精神的にも持ちこたえないといけない。ここからだと思う」。ヤマを越えれば、また高い山が待っている。しかし、その先には目標のマスターズ初Vが見える。残りはあと2勝だ。

 ◆対マリー 3連敗していたが、昨年11月の最終戦ATPツアー・ファイナルの総当たり戦で6-4、6-4のストレート勝ちで初勝利を挙げた。しかし、今年5月のマドリードオープン準決勝では、マリーの堅い守りを崩せず。3-6、4-6のストレートで敗れ、対戦成績は錦織の1勝4敗となっている。