7人制ラグビー女子日本代表「サクラセブンズ」のエース山口真理恵(26=ラガール7)が、50メートル6秒6の快足で、リオ五輪切符を引き寄せた。香港大会で敗れている中国戦で2トライを挙げ、20-7と完勝。グアム戦、香港戦への勢いをつけ、3連勝に貢献した。今日29日の1次リーグ最終戦カザフスタン戦に勝つか引き分ければ、決勝を待たずして五輪出場権獲得が決定。男子とのアベック出場を狙う。

 山口が夢を大きく近づけた。ヤマ場だった初戦の中国戦。5-0の前半7分、一瞬の速さで今大会初トライ。後半1分には相手のタックルを受けて倒されたが、勢いそのままに懸命に腕を伸ばしてラインを越えた。「いいボールがきたのでトライができた。初戦がキーだったので、いいスタート」。3週間前の香港大会で5-12と敗れていた中国戦勝利が3連勝を導いた。

 第2戦グアム戦でも約50メートルを快走。タッチライン際を切り裂くトライ。「自分たちの引き出しのオプションはまだある。まだまだ出していきたい」。今日29日のスリランカ戦、カザフスタン戦でのさらなる活躍もイメージした。

 女子ラグビーのパイオニアとして高2から代表入り。「女がラグビー?」と否定的な声もあった中でのリオ五輪新種目決定。「だからこそ、女子ラグビーの未来のためにも、絶対に切符を取らないと」。年間200日を超える代表合宿に生活すべてを費やしてきた思い、女子ラグビー普及にかける使命感は誰よりも強い。

 26歳になったばかりの女性としての夢もある。「27歳で結婚したい。でも結婚指輪できないんだよな…」。脱臼で腫れた左手薬指。指輪が入らないことは誇りでもある。一方で揺れる女心もある。「相手がいないので27歳は無理。でも将来の目標は奥様ラガール。兼松さんのようなママさん選手がたくさんできるようにしたい」。

 日本の団体球技アベック出場一番乗りにも挑む。「明日もランニングを見てほしい」。聖地秩父宮で、まずは最初の夢をかなえる。【鎌田直秀】

 ◆山口真理恵(やまぐち・まりえ)1989年(平元)10月22日、横浜市生まれ。汐入小4年でタグラグビーに出合い、中学では陸上部に所属しながら、釜利谷クラブで本格的に開始。07年、高2で初代表。高校卒業後、2年間ニュージーランド留学。帰国後は購買戦略研究所にOLとして勤務しながらプレーしてきたが、今年2月にプロ転向。159センチ、58キロ。O型。

 ◆7人制ラグビーのルール フィールドのサイズは15人制と同じ。先発はFW3人、BK4人。入れ替えや交代は5人まで。試合時間は前後半7分ハーフで行われるが、大会の決勝のみ10分ハーフで行うことが多い。ハーフタイムは2分。1日に数試合をこなすのが通例。ルールは15人制とほぼ同じだが、スクラムが3人対3人。トライ後はバウンドさせて蹴るドロップキックでゴールを狙う。試合再開は15人制と逆で、トライを取ったチームのキックオフで開始。シンビン(一時退出)は2分間など、異なる点もある。