バレーボール女子のリオデジャネイロ五輪世界最終予選が今日14日、東京体育館で開幕する。12年ロンドン五輪で銅メダルを獲得した日本代表の木村沙織主将(29=東レ)は、自身4度目の五輪出場を目指す。初戦のペルー戦を翌日に控え、主将として「どんな形でも五輪切符を取る」と宣言した。

 チームは開幕前日、試合会場の東京体育館で約2時間の練習を行った。報道陣に公開されたのは、冒頭10分間のスパイク練習だけ。木村は時折、笑顔も見せていた。だが練習を終えてコートから出てきた表情は、ぐっと引き締まっていた。「始まればあとはやるだけ。五輪切符をどんな形でも取る」と力を込めた。

 五輪に4大会連続出場となれば、日本女子バレーボール界初めてだ。17歳で「スーパー女子高生」としてブレークした04年のアテネ五輪から12年。主将となって臨む最終予選は「今までとは全然違う」と言う。

 12年のロンドン五輪後、主将に任命された。以来、エースでもある木村は重圧に苦しんできた。「まず自分のプレーでうまくいっていなかったのが正直あった。引っ張りたいけど引っ張れずにいた」。男子化する海外チームのパワーとスピードに苦戦。得点を焦り、スパイクはブロックにかかった。14年世界選手権は7位、昨年のW杯では5位。道は険しかった。

 ロンドンではセッターの竹下佳江という精神的支柱がいた。木村も「自分のことだけ考えて、頼りながらやっていた」。竹下は引退し、10代の選手が増えた。練習中も食事中も積極的に声を掛け、若い選手がプレーしやすい環境を作った。19歳の古賀は「自分たち若手選手に気を使ってくれて、助けられている」と感謝した。直前合宿中に行ったイタリア、オランダとの練習試合では勝利。チームは確実にまとまってきた。

 初戦のペルーは、世界ランキング5位の日本に対して21位と格下だが、木村は「侮れないチーム。自分たちの攻撃をしたい」。負けられない戦いが始まる。【岡崎悠利】

 ◆五輪の出場条件 男女とも世界最終予選(東京体育館)の結果で決まる。女子は14日から、男子は28日から開幕する。ともに8カ国が参加し、アジア4チーム中最上位または全体の3位以内に入れば出場権を獲得できる。

 ◆木村の五輪 04年アテネ五輪に東京・下北沢成徳高3年の17歳で出場。当時抱えていた腰痛の影響で出場機会はほとんどなく、チームは準々決勝で中国に0-3と敗れた。08年北京五輪には、Vリーグで東レを初優勝に導くなどさらに力をつけ参加、結果はアテネに続いて5位だった。エースとして挑んだ12年ロンドン五輪は、準々決勝の中国戦で33得点を挙げるなどし、28年ぶりの銅メダル獲得に貢献した。