世界93位のダニエル太郎(23=エイブル)が、4大大会初勝利を挙げた。同45位のクリザン(スロバキア)に3-6、4-6、7-5、6-4、3-0となったところで、相手が首などを痛めて途中棄権した。2回戦では前年覇者のバブリンカ(スイス)と対戦する。

 ダニエルが粘りに粘って棄権に持ち込んだ。2セットダウンからの見事な逆転で、最後は相手が疲労から来る故障でダウンした。「2回戦に進めてうれしいけど、特別にわーといった感じではない」。初勝利だったが、相手の棄権で複雑な気持ちだった。

 クリザンの重いショットに、最初は戸惑った。「相手が思ったより打ってきた」。そのまま2セットダウン。第3セットこそ奪ったが、第4セットは0-4となり「半分、あきらめかけた」。しかし、「前より強く打とう」と開き直ったのが功を奏した。一気に9ゲームを連取し、相手を棄権に追い込んだ。

 父が米国人でスペインを拠点に腕を磨き、現在、世界93位。70位前後と言われるリオ五輪への出場権獲得に厳しい状況だが、勝ち上がるたびに可能性は広がる。五輪について「あまり自分に重圧をかけたくない」と話すが「出られれば、もちろん出たい」。可能性を少しでも広げるために、次戦でバブリンカに挑む。【吉松忠弘】