世界6位の錦織圭(26=日清食品)が、辛勝で2年連続の16強入りを決めた。元世界トップ10で、同52位のフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)に2セット先取しながら追いつかれたが、6-3、6-4、3-6、2-6、6-4で勝った。次戦では2年連続の8強進出を懸けて同12位のガスケ(フランス)と対戦する。

 危なかった。第3セット、錦織は集中と体力が落ちたところを狙われた。09年に世界7位にまでなったベルダスコの重い球とフォアハンドに大苦戦。2セット先取から2セットオールに追いつかれ、5セットでの綱渡りとなった。しかし、それでも、負けなかった。「粘り勝てて良かった」と安堵(あんど)した。

 決して得意な相手ではない。相手の左利きのフォアは回転量が多く、錦織のバックに高く弾む。なかなか抑えが利かないところで、コントロールをミスすると相手の餌食になる。時速210キロのサーブや、回転量を変えた多彩なサーブで攻められ、なかなか的を絞れなかった。

 過去1勝2敗。その1勝も、昨年にようやく挙げた1勝だった。15年3月の米インディアンウエルズ大会で、得意のハードコートで第1セットを落としてからの逆転勝ちだった。加えて、世界ランクを落としてはいるが、相手は4月に赤土で2年ぶりのツアー優勝を果たし、上り調子だった。

 しかし、悲願の4大大会初制覇には、どんな形でも勝たなければ次はない。内容はともかく負けなかった。そして次戦は、マドリード、ローマに続いて3大会連続でガスケと対戦する。

 ガスケとは、マドリード前までで6戦全敗。最も苦手とする選手だったが、マドリードで初勝利を挙げて、続くローマでもストレート勝ちし「苦手意識はなくなった」。明日1日は試合がない。「この疲れを取ってガスケ戦に挑みたい」と、3大会連続撃破で8強をつかみ取る。【吉松忠弘】

 ◆錦織の4大大会5セットメモ 錦織は4大大会で5セットを戦ったのは今回で14回目で通算11勝3敗。そのうち、2セットアップから追いつかれて勝ったのは08年全米3回戦で、第4シードのフェレール(スペイン)を破った時以来。当時、体力を温存するため第4セットは捨てたと試合後に明かしていた。

 ◆WOWOW放送予定 28日午後5時55分~、29日午前0時~、ともにWOWOWライブ。男女シングルス3回戦ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。