「霊長類最強女子」は、やることすべてが規格外だった。リオデジャネイロ五輪日本選手団主将に決まったばかりの女子レスリング吉田沙保里(33)の個人壮行会「-めざせ前人未踏の四連覇- 吉田沙保里壮行会」が2日、都内のホテルで行われた。

 スポーツ界はもちろん、芸能界、財界など幅広い交友関係から集まったのは1096人。本番前の壮行会は選手を激励しつつ本人の負担にならないように簡素に行うのが普通だが、この日は別。まるで吉田の4連覇を前祝いするかのように豪華で、ど派手な「お祭り」だった。

 列席者の度肝を抜いたのが、登場の仕方。総合格闘技でも活躍した吉田秀彦氏と格闘技イベント「RIZIN」の統括本部長を務める高田延彦氏に担がれて入場すると、乾杯ではアントニオ猪木氏が「元気ですか~!」と登場。格闘技色の濃い、大晦日のような雰囲気が会場に漂った。

 歓談の間もイベントは続く。ものまねタレント坂本冬休みのショーに続き、カンボジア代表でリオ五輪男子マラソンに出場する芸人猫ひろしが登場。さらに電撃ネットワークもネタを披露した。最後はNHK紅白歌合戦やAKB選抜総選挙にも登場した「我武者羅應援團」が、五輪4連覇に向けてエールを送るなど芸能色も全開だった。

 前代未聞の五輪壮行会。吉田と同い年で親交のある競泳金メダリストの北島康介氏は「すごいですね。1カ月前に、これだけできるのは余裕があるから。僕は無理」とびっくり。隣で92年バルセロナ五輪柔道金メダルの吉田秀彦氏も「僕らのころは地味。ほとんど壮行会もなかったし」。リオ五輪日本選手団の総監督を務める日本レスリング協会の高田裕司専務理事は「いや~、すごいね。まあ、吉田ならいいんじゃない。4連覇、大丈夫でしょ」と苦笑いするしかなかった。

 大勢に金メダルを期待されてプレッシャーになってもおかしくないが、吉田本人は「うれしいですね。みんなに応援されると、力になる」と満面の笑み。3日には日本選手団の壮行会で主将として決意表明。8月5日の開会式こそ出席しないが、18日に自分の試合が終わった後は、他の競技の応援にも行く予定だ。霊長類女子最強の吉田は「近づけば自然にギアは入る。絶対に4連覇します」と、規格外の壮行会を自らの力にしていた。