僕たちはこの1年、これからの1年の話はあまりしていない。10~20年後の話をしているところです。

 エディー・ジャパンの85%はプロ選手でした。世界もそうだし、プロの方がパフォーマンスは上げやすい。だけど日本ではプロになるリスクが少なくありません。僕は社会人3年目でプロになって今年で6年目。転向した当時、プロ選手が引退して進む道は自営業か教師かコーチ。その3パターンだけでした。それをもっと増やしたい。ラグビーで食っていける形を。

 正直、今を変えようとはあまり思っていません。僕らはロイター板(踏み切り板)のようなもの。現状の日本代表の待遇に不満がないとは言いませんが、ここまで何もしてこなかったのも悪い。僕らはいいんです。今の小学生や生まれたばかりの子どもたちが、今の僕らと同じ世代になった時、ラグビーをやってよかったと思ってほしい。もっと言えば、ありがたみを感じないのが当たり前くらいがいい。それが根づいたということだから。空気や飲み水に感謝している人ってなかなかいないじゃないですか。そこまで達したい。

 引退したプロ選手が飯を食える世界なら、プロを目指す価値があるし、子どもたちの背中を押せる。立川(クボタ)や松島(サントリー)のような若い選手には次のW杯で結果を出すことに集中してほしい。僕らみたいな30歳を超えた選手は他のこともやっていく。これも役割です。僕はスクラム、五郎丸はキック、みたいに。目指すゴールは1つ。ラグビーと同じです。

 ◆畠山健介(はたけやま・けんすけ)1985年(昭60)8月2日、宮城県気仙沼市生まれ。仙台育英高-早大-サントリー。W杯に11年、15年出場。昨季はイングランド・プレミアシップのニューカッスルでもプレー。178センチ、115キロ。代表キャップ数は75。