日本ソフトボール協会は18日、都内で女子日本代表の監督選考委員会を開き、前代表監督でビックカメラ高崎の監督を務める宇津木麗華氏(53)を選出した。20年東京五輪での金メダル獲得に向け、今回は最終候補に残った現日本代表監督でトヨタ自動車監督の福田五志氏(60)と2人に「自己PRタイム」を設ける新方式を採用。来月20日の理事会での承認を経て、正式決定する。

 他競技を含めても極めて異例な選考方式で、女子ソフトボールの新監督が決まった。事前に「金メダル獲得への強い意志」とプレゼンテーションテーマを与えた。さらに

(1)五輪チームの概念

(2)金メダルへの戦略

(3)選手選考方針

(4)スタッフ選考方針

の4項目が柱となった。A4用紙約10枚の“履歴書”にテーマをまとめた宇津木氏に対し、福田氏は41枚に及んだ。選考委員8人による“最終面接”は約40分間の自己PRと、約10分間の質疑応答で終了。委員が約1時間協議後、宇津木氏に内定を電話で通知した。まさに企業の最終役員面接のようだった。

 08年北京五輪以来の競技採用を見据え、監督や選手選考の公平性、透明化を図るために昨年新設された特別委員会で考案した新方式だった。委員の三宅豊選手強化本部長は「一方的でなく、直接話を聞いて決定することが、発展、総力につながると思った」。宇津木氏選出に関しては「国際大会や日本リーグの実績。なによりも勝負へのこだわり。金メダルへの手腕、対策、方針」と説明し、代表監督として世界選手権2連覇などの実績だけではない評価も強調した。

 宇津木氏は“面接”後「自分の思いは伝えられた。日本の大イベントですから、国に貢献したい。チームとして心を強くしたい」と意気込んだ。協会も代表の愛称をすでに検討するなど盛り上げを後押し。今後は12月の国内合宿で始動し、来年1月には海外遠征も計画。年間約50日程度だった活動も、来年以降は150日以上に増やして強化を図る予定だ。【鎌田直秀】

 ◆宇津木麗華(うつぎ・れいか)1963年8月20日生まれ、北京市出身。北京市長辛店第三中で競技を始め、元中国代表。88年に来日し、95年日本国籍取得。日本の主力打者、主将として活躍し、00年シドニー五輪で銀、04年アテネ五輪で銅メダル。引退後は11年から15年まで代表監督を務め、12年、14年に世界選手権優勝。現在は日本リーグのビックカメラ高崎監督とU-24(24歳以下)日本代表監督を兼務。群馬女子短大卒。右投げ左打ち。内野手。170センチ。